クオール(東京都港区/中村勝社長)の14年3月期中間期は、連結売上高490億2200万円(前年比44.3%増)、営業利益10億1600万円(同67.8%増)大幅に計画を上回った。
売上高は、全体の94%を占める調剤事業が444億3400万円(同35%増)。既存店が堅調に推移し、新店出店(26店舗)やM&Aによる規模拡大でも業績を伸ばした。処方箋単価は平均9906円で前年比450円と大幅なプラス。特にこの1~2年でオープンした門前の大型店が処方箋単価を引き上げているという。M&Aでは北関東に23店舗を展開するアルファームを子会社化するなど28店舗を取得し、55億8400万円の増収に。M&Aによる売上高は236億2400万円で、連結売上高の約48%を占めている。
面対応を意識した異業種コラボの3業態
同社の調剤事業では面対応薬局は単なる街なかの薬局ではなく、利便性が付加されるべきと考え、異業種と提携した新業態を次々と仕掛けている。
ローソンとの提携事業は、1号店オープンから4年目を迎えた。今期は出店よりも収益重視へと方針を転換したため、店舗数は13年12月2日時点で計35店舗(6店舗出店、1店舗閉鎖)に留まる。ローソンは13年10月に、処方箋薬・OTC薬を含む医薬品取扱店舗を今後5年で3000店舗に増やす計画を発表したが、そのベースにはクオールとの実績があるという。今後クオールは関東を中心にコラボ出店を展開する予定だ。
11年に始まったビックカメラへの出店は現在、有楽町、新宿東口、名古屋駅西、札幌の4店舗。特に有楽町店では、処方箋受付枚数は月間1000枚超をキープし、応需医療機関数は3000弱まで増加、年間売上高1億円超を見込める勢いだ。新宿東口店も処方箋枚数が月間1000枚を超えた。ビックカメラは駅近で集客力もある好立地であり、今後も機会があれば積極的に出店を進めたいという。
12年にはJR西日本グループと提携、13年4月に新業態「駅クオール」をJR大阪駅構内に出店した。同店のOTC販売は月間300~400万円、処方箋枚数はオープンから右肩上がりで、13年10月時点で月間590枚。当初からの狙い通り女性客が非常に多く、物販が特に好調だという。同社では駅ナカの薬局は今後、京阪神の主要駅を中心に年間2~3店舗ペースで開局して行きたいとしている。また、駅クオールを中心としたドミナント効果をより高めるべく、11月にはJR西日本グループより調剤薬局2店舗を譲受した。
さらに、面分業における新たな試みとして、13年10月にリリースしたのが「処方せん送信アプリ」だ。スマートフォンで処方箋を撮影して希望の薬局に送信する仕組みで、職場や家の近くの薬局で、あまり待たずに薬を受け取れる。まずはビックカメラ内やローソン併設店等の面対応薬局から対応を始めているが、サービス開始からほどなくして、これらの薬局の処方箋取り扱い数が増加してきたという。
非調剤事業でも売上高が前年同期比309%増となり黒字転換した。中核は12年に子会社化したアポプラスステーションで、今期の非調剤事業売上高の7割を占める見込みだ。同社は製薬企業の営業・マーケティング業務を受託するCSO事業や、医療関連の人材サービス等を行っている。製薬企業ではMRをアウトソース化しつつあり、これに対応したCMR(CSO企業に所属するMR)派遣事業が業績を牽引した。
2014年東京、兵庫、宮城に超大型門前薬局を出店
クオールでは、日々進化する高度先進医療に対応すべく、がんや糖尿病など14疾患、さらに在宅医療などの専門知識を持つ薬剤師を育ててきた。こうした活動の成果を薬局に本格的に反映させる計画が今進んでいる。「高度先進医療を担当できる薬局、慢性疾患に対応できる薬局、一般外来の患者に対応する薬局。これらを、来春以降に具体的に、薬局の姿として提示ができるよう鋭意努力していく」と中村勝社長は意気込む。来年は、「近年まれにみる」超大型の門前薬局を東京都内、兵庫県内、宮城県仙台市内に出店する計画だ。
今期、連結売上高がついに1000億円を達成する見込みのクオール。長期目標の3000億円に向かって突き進む。