アパレル業界に特化し急成長、ベイクルーズが人材紹介事業を立ち上げた理由とは?
事業立ち上げの発端は「稼げるコーポレート部門を創出する」こと
WILL WORKS立ち上げの発端は、ベイクルーズ創業者の商売に対する強いこだわりにある。
多くの企業では、売上を稼ぎ出す部署とそれを支える管理部門とに分かれているのが一般的だが、ベイクルーズの場合「総務・経理・人事などのコーポレート部門も稼ぎましょう」というのが創業者の考え方。櫛谷氏のいた人事部も、当然そう言われ続けてきた。
さらに、「この先もずっと生き残っていくために新しい事業をどんどん生み出していこう」というコンセプトで、10年以上前から「新規事業提案制度」というものがあった。ベイクルーズで働く社員、アルバイトから広く事業アイデアを募り、会社として事業化のサポートに積極的に取り組んできたのである。
「アパレル業界を元気にしたい」との想いを抱いていた櫛谷氏はまさに、この「新規事業提案制度」で人材紹介事業の立ち上げを提案、事業化するに至った。「コーポレート部門も稼ぎましょう」という創業者の考えを具現化したことになる。
事業をスタートさせた5年前は、人材業界、アパレル業界ともに活況だった時期。アパレル全体の売上も伸びていて、店舗スタッフの採用に積極的なブランドも多かった。ただ、コロナを機にそれが一変した。「ものの売れ方そのものが完全に変わった。ファッション関連の企業全般が苦しい状況に陥り、破綻する企業、撤退する企業が出てきて、業界が様変わりした」(櫛谷氏)
アパレル業界の求人がほぼなくなったため、コロナ禍でも人材募集が活発だったIT業界と新たに取引をスタートした。エンジニア、データサイエンティスト、Webディレクター、Webマーケティングなど、これまで得意分野とはいえなかった職種に対象を拡大し、ITという新たな領域で売上を稼ぎ出すことに成功した。
「提案の幅を拡げていったのは、アパレルの販売スタッフに対しても同様。休業を余儀なくされた店舗で働くスタッフから数多くの相談を受けたが、残念ながら販売の仕事の紹介先はない。そこで、販売の付帯業務としてSNSで集客する、ブログを書くといったスキルを細かくヒアリングして、販売スタッフに提案する領域を拡げていった」(同)