ヤオコー、ライフは始めている!ゴミからモノへ 資源循環を作り出す小売の一歩とは

宮川 耕平(日本食糧新聞社)
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ライフは食品残さを熱源にバイオガス発電

プロセスセンターで発生する食品残さを熱源化するライフ天保山バイオガス発電設備
プロセスセンターで発生する食品残さを熱源化するライフ天保山バイオガス発電設備

 プラスチック類の資源回収は、顧客の協力のもとにあえて集めているわけですが、スーパーの業務によって強制的に発生するのが食品残さです。生鮮や総菜の加工過程で発生する廃棄物は、取り扱いがとりわけ困難な生ゴミです。

 各社は食品残さをただ捨てるのではなく、従来から堆肥や化粧品の原料としてリサイクルに回してきました。先述のヤオコーの場合、廃棄食品のリサイクル率は21年度に5割を超えたといいます。廃棄から資源化への流れをさらに広げていくことは業界全体の課題です。

 例えばイオン(千葉県)は、店舗の食品残さを堆肥化し、グループ直営農場でそれを使用、栽培した野菜を近隣店舗で販売する循環システムを2016年の時点で兵庫県三木市に構築しています。

 堆肥にする以外の方法として、食品残さを使ったバイオガス発電も始まっています。ライフコーポレーション(大阪府)は、大阪市内の天保山プロセスセンターと南港プロセスセンターで発生する食品廃棄物を燃料とする天保山バイオガス発電設備を3月から稼働させています。

 プロセスセンターで発生する年間4380トン分の廃棄コストを削減するうえに、一般家庭160世帯の年間使用量に相当する電力を売電もしくはプロセスセンターに供給できるようになりました。プロセスセンターでは大量に発生する米のとぎ汁の濾過処理にもコストをかけていましたが、それも発電設備の大型タンクで発酵処理することにより、熱源に転換できるようになりました。

 食品残さも、ゴミから堆肥に、または熱源にと飛躍させることで再利用のループが回り始めます。この飛躍をいかに実現させるかは、企業の戦略と投資判断です。

 プラスチック回収にもいえることですが、産業廃棄物を有効かつ経済的に循環ループに乗せるには、輸送コストなどを考えると地域ごとに仕組みを整えなければなりません。大手企業の方が投資はしやすいでしょうが、展開エリアが広域化するほどに、各地で仕組みを整える必要も出てきます。けっきょく規模の大小に関わらず、1社でやる限り合理性は高まらないかもしれません。であれば、企業間で協業するサステナビリティ戦略も必要になってくるでしょう。

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