メガネの価値を見直し、必需品としての機能最大化に徹したビジョナリーHDにみる小売業の低迷脱却の勘所
コロナ禍で低迷もEC、出張サービスを拡充
コロナ禍では営業時間短縮の影響などもあり業績はやや低迷したが、その間にECや出張サービスを拡充。リアル店舗を拠点としながらも商品・サービスへのアクセシビリティを可能な限り高め、地盤固めに注力した。
小売業はいま、過渡期にある。大量生産大量消費の時代から価値ある製品、使う意味のある製品にお金を払うという消費者意識の変化に対応できなければ、生き残ることが難しくなりつつある。メガネを単なるレンズではなく、目の健康にかかわる重要アイテムと定義し、それを具現化するために店舗やサービスをとことん深化させた同社が、消費者の信頼を獲得しV字回復を遂げたのは決して偶然ではないだろう。
歩みを止めない同社は2021年11月、新たな経営理念として「五感の健康寿命を100年に」を掲げた。目と耳の包括サポートから、その対象をさらに五感へ拡大。深化させた収益構造を横展開することで、売上の一層の上積みを図り、次なるステージを駆け上がる。
小売の繁栄から衰退、そして再生から再飛躍――。同社のこれまでの足跡はそのまま、小売がどうすれば永続的な企業として環境変化に対応しながら消費者に存在価値を提示し続けられるのか、のひとつのモデルケースとして大いに参考にできるだろう。
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