原価高騰のなか、イオンが「価格凍結」を22年3月末まで延長する理由とは

2022/01/13 05:55
    湯浅 大輝 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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    値段引き上げる小売企業も イオンは「価格凍結」してブランド認知力向上狙う

    消費者にとっては嬉しい「価格凍結宣言」だが、会見では「(原材料高騰による)値上げ幅を商品価格に転嫁しないことで、取引先メーカーにしわ寄せがいくのではないか」「『デフレ脱却』をモットーに、価格を引き上げている他の小売業もある」といった質問も飛び出した。

    イオン執行役商品担当の西峠泰男氏
    イオン執行役商品担当の西峠泰男氏

    西峠氏は、こうした疑問に対し、「サプライヤーさまにはご理解をいただいており、良好な関係を築いている。負担を押し付けてはいない」と断った上で、「様々なご意見があるのは承知しているが、私たちは『お客さま第一』の精神でお値打ち価格の商品を提案し、お客さまの消費をサポートしていく」と説明した。

    今年9月からの価格据え置きで、同社のPB「トップバリュ」の売上は好調だった。ここから更に商品開発力に磨きをかけ、「安さ」以外の「美味しさ」「簡便さ」などの付加価値も追求していく、と西峠氏は強調した。

    「内食需要については、近年ドラッグストアやディスカウントストアの台頭により、年々競争が激化している。今年9月からの価格凍結で、トップバリュの認知度が向上した。『安さ』だけでは、将来的なファン獲得にはつながらない。物流コストなどを削減しながら、ブランドならではの価値を高めていきたい」(西峠氏)

    過去に例をみない原材料高騰という課題に直面する小売業各社。イオンは2022331日までの「価格凍結」でトップバリュブランドの発展を狙う。

    対象商品の一例。(イオンのプレスリリースより)
    対象商品の一例。(イオンのプレスリリースより)

     

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    記事執筆者

    湯浅 大輝 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

    1996年生まれ。シンガポール出身。同志社大学グローバル・コミュニケーション学部卒業後、経済メディアで記者職に就く。フリーライターを経て、2021年12月ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。大学在学中に1年間のアメリカ・アリゾナ州立大学への留学を経験。好きな総菜はローストビーフ、趣味は練馬区を散歩すること。

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