麻婆豆腐に注目したなんて

2016/01/15 00:00
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 インテージSRIによると、中華メニュー用調味料の市場規模は約593億円。その内訳は、「麻婆豆腐」が31%、「回鍋肉」が12%、「麻婆茄子」が8%、「青椒肉絲」が6%、「酢豚」2%、「干焼蝦仁」2%、「八宝菜」2%、「麻婆野菜」1%、「その他」36%となっている。「麻婆豆腐」は約183億円の規模を持つ一大ボリュームメニューであることが分かる。

 

「麻婆豆腐」の市場を味種で分類すると、「甘口」は40億円、「中辛」は78億円、「辛口」38億円だ(味の素調べ)。

 

「『中辛』が5割を占めている理由は、家族全員が食べられるため」(味の素)。つまり、最大公約数的な存在として、もっとも売れ、定着してきたわけだ。

 

 しかしながら、味の素(東京都/西井孝明社長)が市場全体を家族構成による属性でとらえ直してみると、「小さい子あり家族世帯」(23.7%)、「中高生あり家族世帯」(17.9%)、「成人家族」(33.3%)、「味にこだわる単身男女」(26.3%)と大人の舌を持つ「大人層」が約8割を占めていることが分かった。

「大人層はもっと自分たちに合った『麻婆豆腐』を食べたいというニーズを持っている」(味の素)。

 

 そこで味の素は、従来の「甘口」「中辛」「辛口」という括りではなく、自分の好みや気分に合わせて大人が手軽に楽しめる「Cook Do®」新〈あらびき肉入り〉麻婆シリーズ4品を新発売し、新しい需要の創造に乗り出した。

 

 具体的には、花椒、豆板醤を効かせた「黒麻婆」(辛み・刺激レベル4)、濃厚白湯に花椒を効かせたさわやかな辛さの「白麻婆」(同3)、自家製辣油、豆板醤、甜麺醤を使用し飽きのこない味わいの「赤麻婆」(同4)、甜麺醤、オイスターソースを使用したやさしい味わいの「甘麻婆」(同1)の4種類。注目したいのは、「麻婆豆腐」というド定番メニューに4品を投入したことだ。

 

 考えてみれば、ポピュラーメニューの細分化は、「カレー」や「パスタ」などを挙げるまでもなく、食の世界では常套手段であることに違いない。

 しかしながら、灯台下暗し。まさか「麻婆豆腐」に目をつけるとは。味の素のマーケティングとイノベーションには驚かされる。

 この発売によって、日本の「麻婆豆腐」市場は再活性化するとともに、中華料理メニュー市場での新しいメニュー提案も続々とおこなわれることになるだろう。
 

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