「人間の価値観は『時代』『世代』『年代』によって異なる」から
『ダイヤモンド・チェーンストア』誌2015年5月1日号の「総菜特集」は好評で、多くの読者の方々からお褒めの言葉を頂戴した。
「食品スーパー(SM)のこの分野における並々ならぬ努力を垣間見ることができた」。
「ぜひ、試食ツアーで勉強したい」。
「冷凍総菜という発想が凄い」。
など、掲載企業の各種取組に対する評価が大半だった。
ただ、そんな中にあって、「(SMの総菜は)コンビニエンスストアのパウチパック総菜と比較すると遜色は否めない。まったくおいしそうじゃないし、食指が動かない」という意見があったことも記しておかなければいけない。
実は、初めは、この読者の方が何を言っているのか、まったく分からなかった。
「工場で大量生産する総菜よりも、SMの担当者が寝食の間を惜しんで開発した総菜の方がおいしいに決まっている」と心のどこかで思っていたからだ。
けれども、よくよく考えてみて、合点した。
コンビニエンスストアの総菜を「心底、おいしく、格好よく、素晴らしい」と考える消費者は非常に多い。だから、セブン-イレブンを筆頭にコンビニエンスストアは、有職主婦やシニアといった新しい消費者層の開発に成功しているし、若者からの支持も依然として集めている。
「人間の価値観は『時代』『世代』『年代』によって異なる」と喝破したのは、セブン&アイホールディングス(東京都/村田紀敏社長)の伊藤雅俊名誉会長であるが、ひょっとするとSMの総菜開発と一部の消費者の間には大きな価値観のギャップが生じているのかもしれない。
もちろん私と一部の消費者の間にも…。
いずれにしても、自分の感覚が正しいと決めつけてしまうとそこから先の発展はない。自分の感覚は間違っている可能性の方が高いわけであり、その意味で自分と異なる意見を聞くことは非常に参考になる。
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