「事件は現場で起こっている」から

2015/04/14 00:00
Pocket

 時代は、便利になったもので、私たちのような記者・編集者は、インターネットを通じて多くの企業情報を入手できるようになった。

 20世紀には、決算特集を組むに際して、有価証券報告書を閲覧するために大蔵省の門を叩いて、1ページずつコピーを取っていたことを考えれば、その手間ヒマは格段に軽減されている。

 

 店舗情報もしかりだ。

 各企業から発せられるプレスリリース各種は、かゆいところにまで手に届く詳しい情報が盛り込まれており、あっという間に2~3ページ分くらい書けてしまう完成度の高いものもある。

 

 そう。いまや記者・編集者は、オフィスの心地よい椅子に座り、パソコンのキーボードを叩き、ホームページを訪ねていれば、記事をふつうに書くことができる。

 実際にそんな仕事をしている人たちもいるのかもしれない。

 

 私たちも、締め切りが迫っている原稿は、あらかじめプレスリリースを元に《予定稿》を書き、現場に向かうこともある。

 

 しかしなのである。

 現場に行くと、《予定稿》の世界は、ことごとく否定される。

 担当者の方から直接話をうかがえばプレスリリースとの微妙なニュアンスの違いを発見したり、中にはプレスリリース自体が間違っているものもある。

「あのまま入稿しないでよかった」と胸をなでおろすこともある。

 

 当たり前のことなのであるが、「事件は現場で起こっている」(青島俊作)のである。

 

 そして、それこそが『ダイヤモンド・チェーンストア』誌が現場での取材をとても大切にしている理由なのである。
 

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態