オムニチャネル時代は商品を磨こう
4月7日。ローソン(東京都/玉塚元一社長)と傘下事業会社に佐川急便(京都府/荒木秀夫社長)を持つSGホールディングス(京都府/町田公志社長)は、業務提携契約を締結した。ローソン店舗を拠点とした自宅への配送や御用聞きサービスを行う共同事業会社SGローソン(野辺一也社長)を2015年6月に設立する。
SGローソンは、ローソンの店舗半径300~500m内の小商圏内配送、御用聞きサービスを提供。東京都世田谷区の約20店舗で新サービス「SGローソン マチの暮らしサポート」をスタートさせる。
お客が不在時に宅配された荷物をローソン店舗で受け取れたり、専任配送担当者が自宅などへ直接荷物を届けたり、ローソンで販売する弁当類やネット宅配「ローソンフレッシュ」の商品を一緒に届けるサービスを提供する。
2016年2月期中に東京都内100店舗へのサービス拡大をめざす。
また、2015年7月から「ローソンストア100」を除く全国のローソン店舗で佐川急便の取引先の通販会社やオンライン事業者から購入した商品を24時間受け取れるようになる。お客は受取店舗を自宅や勤務先、旅行先などに合わせて指定することができるサービスである。
――以上は、ローソンのオムニチャネルへのアプローチとみることができる。
周知のようにオムニチャネルとは、「店舗」「ネット通販」「カタログ通販」「携帯・スマートフォン」などのチャネルを横断的にシームレス(縫い目なし)に結び、生活者は「いつでもどこでも」商品を購入したり返品したりできるというものだ。
セブン&アイ・ホールディングス(東京都/村田紀敏社長:以下、セブン&アイ)は、2015年度の最重要課題のひとつにオムニチャネルの構築を掲げており、昼夜兼行、確立に努めている。
オムニチャネル構築レースは、いまのところセブン&アイが一歩リードしており、これをローソンやアマゾン ジャパン(東京都/ジャスパー・チャン社長)やイオン(千葉県/岡田元也社長)が追いかけるような格好で進んでいる。
さて、ここから先は、あくまでも私の予想だ。
各グループが競い合って構築を図っていくうちに、オムニチャネルは、セブン系、ローソン系、アマゾン系、イオン系という具合に社会のインフラになり、これを持たない製造業、卸売業、小売業は、どれかひとつをまたは複数以上を活用することで生活者にリーチするようになる気がする。
だから、オムニチャネルのインフラの運用で儲けたい企業やグループは、莫大な投資をしながらインフラづくりに努めればいい。
しかし、ほとんどの企業は、それだけの資金力がないことも事実だ。
では、インフラを自前で持てない企業は座して死を待つしかないのだろうかと言えば、まったくそうではない。
社会のインフラを活用させてもらいながら、商売の原点・源泉というべき商品力を強化すればいい。
もし、オムニチャネルが社会のインフラになるとするならば、大きな差別化要因は商品ということになる。ということは、製造業、卸売業、小売業ともにいまこそさらに商品を磨いておきたい。
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