原信の「肉餃子」
アクシアル リテイリング(新潟県/原和彦社長)の原信寺島店(長岡市)にお邪魔して、総菜の餃子を食べた。
あくまでも私見としてであるが、毎日食べても飽きない。食べ続けられるようなおいしさを感じた。
そのことを、原社長に話してみると、我が意を得たりとばかりに、商品開発の詳しい経緯を説明してくれた。
《「肉餃子」をリニューアル発売したのは今年に入ってから。その間、実に3年間の歳月を費やした。
当社の2倍の売上規模を誇る有力食品スーパー企業の餃子の売上は約5億円であると耳にした。これに対して当社は1億5000万円。少なくとも、あと売上1億円の伸びしろがあるという読みがリニューアルの動機になった。
その後、担当者は新潟県内にあるおよそ餃子を扱う店舗という店舗を食べまわり、1週間朝昼晩が餃子ということもあった。ベーシックな商品ほど難しいものだ》
――原社長は顔をほころばせながら振り返った。
なお、リニューアル発売以降の売上は対前年の4倍と高水準で推移しているという。
さて、以前、このBLOGで「後味」の大事さについて書いたことがある。
現在の、とくにコンビニエンスストアの商品開発は、誰にでもわかりやすく、実際に売れる「先味」重視で「甘味」「酸味」「苦味」「辛味」を極端に押し出す傾向が強い。飽きやすい味を良しとしており、飲食のあと口の中に残る味や味わいの「後味」は等閑視されがち、というものだ。
http://diamond-rm.net/articles/-/9540
逆に、アクシアル リテイリングの餃子のように食べ続けることができるということは、単純に口に入れた瞬間に感じる「先味」を強く打ち出さぬように、どこかで我慢しなければいけない。それだけに、リニューアル発売までの苦労は半端ではなかったと想像できる。
そんなことを考えると、“たかが餃子”ひとつに3年間を費やし、「後味」的な追求に本腰を入れるアクシアル リテイリングの動向には今後も注目。そして、総菜は、いよいよ“味”の善し悪しをめぐる競争になってきたと実感させられた。
※『チェーンストアエイジ』誌2014年9月15日号では、原和彦社長のインタビュー記事を掲載します。どうぞ、ご一読ください。
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