信じた我が道を貫く強さ
関西スーパーマーケット(兵庫県/井上保社長:以下、関西スーパー)の2014年3月期決算短信を読み込んだ。「①当期の概況(P2)」に目を向けると、お客から高い信頼をもらうための指針として、「『食を守る』『食を育む』『食を楽しむ』という3つのキャッチフレーズを掲げた」とあった。さらに、「味」「鮮度」「品質」「見栄え」「容量」「価格」にポイントをあて、お客がいつ来店しても価値ある商品を提供することに注力したと続く。
さすが、関西スーパー、と妙に感心した。今や日本の食は、空腹を満たすだけの作業に堕落してしまったようなところも散見できる。高齢社会の進展や働く女性の増加は、家で料理をつくらない化につながり、古くより綿々と続いてきた日本の家庭食文化は、存亡の危機に直面していると言っていい。
守り、育み、楽しむ、という関西スーパーの方向性は、ひょっとすると現代の消費者の志向には逆行し、必ずしも歓迎されるものではないかもしれない。けれども、こういった哲学こそがオリジナリティそのものである。低価格一辺倒主義に簡単に日和らないという姿勢を顕示し、多くの企業と優先ポイントの順位を逆転させている辺りに、信じた我が道を貫く強さを垣間見ることができる。「地域になくてはならない店の実現」を標榜する関西スーパーに改めて注目したい。
『チェーンストアエイジ』誌2014年7月15日号
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