トレイン トレイン
毎度のことながら、都内のゴールデンウイークは、どこに行っても目茶目茶混んでいた。
にもかかわらず、何を間違ったか、5月4日に浅草雷門前で待ち合わせをしたら大変な目にあった。
まず、地下鉄のホームから地上に出るのに一苦労。次に、雷門にたどり着くまでもが大仕事となり、実に浅草駅到着から10分近くかかってしまった。さらにさらに、雷門前は立錐の余地もない大混雑で、身動きも取れない。携帯で連絡を取り合いながら、やっとこさ相方に巡り合えた。
混雑する浅草で思いがけず目にしたのは、細い路地を歩く4人の人間模様だ。
私が見たときに先頭を切っていたのは、杖をついた老人でそろりそろりとしか歩けなかった。
2番手は、シルバーカーの老婆だ。足取りはおぼつかないものの、杖の老人よりは速く、右側から追い越しをかけた。
その後ろは、杖にもシルバーカーにも頼らない老人で、「チェ」と舌打ちしながら、さらに右側から追い越そうとする。
一番右側の狭いところを、一挙に走り抜けていったのは、高校生くらいの若者だった。
すなわち、浅草の狭い路地は、一瞬、一方通行の4車線と化していた。
そんな光景を見ながら、ブルーハーツのヒット曲『トレイン トレイン』を口ずさんだ。
弱い者たちが夕暮れ、さらに弱いものを叩く――と。
千田直哉の続・気づきのヒント の新着記事
-
2024/09/02
魅力的な売場…抽象的な誉め言葉の意味を明確化するために必要なこととは -
2024/08/02
日本酒類販売社長が語る、2023年の酒類食品流通業界振り返り -
2024/07/03
「何にでも感激する経営者」の会社が業績が良い“意外な”理由 -
2024/06/07
経費率16%なのに?ローコスト経営企業が敗れ去るカラクリとは -
2024/05/23
キットカットをナンバーワンにしたマーケター「アイデアより大事なこと」とは -
2024/04/15
スーパーマーケット業界のゲームチェンジャー、オーケー創業者・飯田勧氏の経営哲学とは