いなげや 既存店舗改装で好調!
いなげや(東京都/成瀬直人社長)の既存店舗が好調だ。
消費税増税後の2014年4月は前半の不調を巻き返し、対前期比3.5%減で着地させた。
4月16日から30日までの後半戦に限れば、既存店舗は同2.5%増。この傾向は5月に入ってからも続き、5月1日から6日までは、同3%増だという。
「総菜と生鮮3部門が増税前の勢いに戻った。タバコ、コメは同1割減と不調だが、それらを差し引いても好調だ」(成瀬社長)。
いなげやの既存店舗(食品スーパー事業)は、このところ競合激化や低価格競争などの結果、苦戦を強いられてきた。2012年3月期は同2.7%減、2013年3月期は同4.6%減――。
「このままでは縮小均衡に陥るばかりだ」。
2013年2月に就任した成瀬社長は「食を通して地域に貢献するお役立ち業」というグループ方針を再度見つめ直し、内部留保を切り崩し、「時代に適応できていなかった」既存店の改装に着手した。
調理済・半調理商品の品揃えを強化するとともに、店舗コンセプトを従来の「生鮮プラス惣菜」から「惣菜プラス生鮮」に方向転換し、お客の暮らしにマッチした売場づくりに努めた。
2014年3月期の改装・ゾーニング変更実施店舗は実に53店舗。それでも上期は同2.5%減と前年割れを強いられ厳しい状態が続いたが、9月以降は既存店改装が奏功し、同1.5%増と反転。通年では同0.1%減まで取り返した。
ただ、いなげやは、この好調にも改革の手綱を緩めない。
2015年3月期も約60店舗の改装を実施するとともに、改装済の店舗についても2年に1度は、手を入れていく。
「成長し続ける営業のあり方を考え続けたい」(成瀬社長)。
いなげやは、この取組によって、2015年3月期の既存店売上高を同0.9%増と計画している。
なお、いなげや(連結)の2014年3月期の営業収益は2304億1100万円(対前期比4.3%増)と過去最高。営業利益26億7600万円(同23.5%減)、経常利益30億7400万円(同20.1%減)、当期純利益11億7700万円(同55.1%減)。
2015年3月期は営業収益2400億円(同4.2%増)、営業利益27億円(同0.9%増)、経常利益31億円(同0.8%増)、当期純利益12億円(同1.9%増)を目指す。
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