楽天的オムニチャネル
楽天(東京都/三木谷浩史会長兼社長)は、モバイルメッセージングとボイスオブIPサービスのViber Media Ltd.(以下、バイバー)を9億ドルで買収すると発表した。バイバーのユーザー数は193カ国の3万人。だが楽天のねらいは会員数増強にはないと思われる。本丸は、〈カカオトーク:KakaoTalk〉〈ライン:LINE〉〈ワッツアップ:Whatsapp〉など、インターネットの次のレイヤー(層)がコミュニケーションのできる「メッセージング プラットフォーム」にシフトしていることへの対応だ。
これが何を可能にするのか? 何より消費者が「楽天市場」でモノを購入するときに、チャット(文字)やボイス(肉声)で出店者に相談することができるようになる。バイバーは、パソコンのみならず、スマートフォン、タブレットなどほとんどのデバイスに対応しているから、ユーザーエクスペリエンス(利用者体験)は格段に向上するはずだ。
楽天は今のところネットスーパーの楽天マートを運営しているものの、リアル店舗は展開していない。しかし、バイバーの買収によってシームレスの度合いは深まり、会員に金融サービス、デジタルコンテンツ、EC(電子商取引)を提供する楽天経済圏は着実に拡大している――。そして、これこそが楽天にとってのオムニチャネルなのだろう。
『チェーンストアエイジ』誌2014年3月1日号
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