コーヒー市場が盛り上がっているぞ!
2013年度のコーヒー輸入量は45万tと過去最高を記録した。①農薬規制の緩和、②コンビニエンスストアのカウンターコーヒーの大ヒット、③「UCCエコポッドPelica(ペリカ)」や「ネスカフェゴールドブレンド バリスタ」など新しいマシンの台頭、④ペットボトルコーヒーが新カテゴリーを創造したこと…理由は随分とある。
その象徴は、セブン-イレブン・ジャパン(東京都/井坂隆一社長)が2013年1月から導入を開始したセルフ式ドリップコーヒー「セブンカフェ」だ。9月20日に全店導入を完了すると、12月12日には累計販売数3億杯を突破した。
さらには、「サードウェーブコーヒー」という、まさに“第3の波”も起こっている。
「サードウェーブコーヒー」とは、米国発のトレンドで「産地や農園単位で厳選したコーヒー豆を自家焙煎し、豆の特長に合わせて挽き方や抽出方法にこだわった一杯を提供」するというもの。日本でもいくつかの専門店がオープンし始めている。
コーヒーが伸びる根拠はまだある。
日本人のコーヒーを飲む杯数は、年間平均で330杯。米国の500杯、欧州の800杯、北欧の1000杯に遠く及んでいない。しかも、日本人330杯のコーヒーのうち100杯は缶コーヒーを飲んでいるのだ。
これほどまでに盛り上がっているコーヒー市場だが、食品スーパーマーケット(SM)での売れ行きは対前年度比では横ばいでいまひとつ。蚊帳の外に置かれてしまっている。
最大の理由は、コーヒー売場が「コーヒー製品の置き場」になっており、TPOS(time、place、occasion、life style)に応じた提案がしっかりとできていないためだ。
たとえば、フィルターひとつを取っても、「1杯取り用」を品揃えしている企業はそれほど多くない。SMは、少子高齢化に対応するために、小容量パックの品揃えに努めているけれども、ことコーヒーに限っては死角になってしまっている。
また、かつてレギュラーコーヒーは、売場にミルを備え、挽き売りすることが主流であり、SMには香りが漂っていた。しかし現在は、効率面や衛生面、メンテナンス面を重視して、すでに挽いてある粉コーヒーのパックが取り扱いの主流になってしまっている。
ただ、そうはいうもののブーム的状況は、まだ入口に差し掛かったところ――。
SM各社は、コーヒーの品揃え、売り方、マシンや付属物など、もう一度、チェックしてみてはいかがだろうか?
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