待! メンテナンス市場のイノベーター
昨日は冷蔵庫が壊れた話。今日の話は、ブルーレイ・DVDレコーダーが壊れたところから始まる。
早速、メーカーのホームページに行き、機種名を打ちこむと、「IC異常の可能性があるので、その場合は無料で修理する」というアナウンスが掲示されていた。
そこで、インターネット上で修理と集荷を申し込むと、翌日には宅配業者の方がレコーダーを回収に来てくれた。
と、ここまでは非常にスムーズで軽快だった。ネットを通じてのラクラク修理に新しい時代の到来さえ予感させられたほどだ。
ところが、その2日後にメーカーから1本の電話があってから状況は一変する。
担当者の話は、「レコーダーのIC異常を確認できたので無償で修理する。しかし、ハードディスクが壊れていることも判明したので、約2万5000円費用がかかる。修理しても良いか?」という内容だったのだ。
「ハードが壊れている? 原因は何ですか?」と私。
「ホコリとか衝撃とかで壊れることはあるんですけど、実のところはよくわからないんですよ」
「じゃあ、IC異常に起因しているかもしれませんよね」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれません」
「私の立場からすれば、IC異常と無料交換及び配送費のコストを御社が持ちだす分、ハードディスクの壊れを指摘して、抱き合わせで利益を確保しているように見えますけど…」
「そう言われてしまうと困るんですけど…」
担当者から見れば、私は、相手の過失に付け込み、因縁や言いがかりをつけているクレーマーに違いない。
しかし消費者である私の立場からすれば、レコーダーが壊れた→IC異常だろうと(無料)修理に出した→ハードディスク破損判明。原因は不明。修理費として2万5000円を見積もられた、という事実があるだけだ。
立場が変われば、考えはまったく変わるわけだ。
最終的には、不良製品を再度引き取るのが面倒くさく、修理をお願いせざるをえなかったのだが、どうも納得がいかない。
その原因を自分の中で探っていくと、競争原理の有無に行きつく。
ブルーレイ・DVDレコーダーを購入した時点では、贔屓ブランドの製品を数多くある家電専門店やネット販売業者の価格やサービスを比較して購入した。そこには選択肢があった。
ところがメンテナンスには、競争原理が働いていない。
だから、メーカーの言い値、言いなりにならざるをえない。
嫌ならば、修理を頼まないという選択肢しかない。
ただし、その場合、代替品を購入するため、修理費の2~3倍の出費を覚悟せざるをえない。
メンテナンス市場は、常に競争原理が働くような場所で買い物をしている消費者にとって、胡散臭いとともに、とてつもなく古いにおいが漂っている。
しかし逆に考えてみれば、新たに起こす商売としては旨みがあると言える。
奇しくも、今は、パーツアッセンブルの時代。オリジナル・モジュール主義は廃れるとともに、メンテナンス市場には、イノベーターが現れるに違いない。
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