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野菜ソムリエが伝授!意外に知らない冬野菜の選び方とおいしい食べ方

2025/01/29 08:50
梅田 みどり (料理研究家・野菜ソムリエ)
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冬に旬を迎える野菜には、寒さに耐えるための特別な性質が備わっており、それが甘みや栄養価の高さを引き出しています。本稿では、野菜ソムリエの梅田みどり氏が冬野菜の特性や目利きのポイント、簡単に試せる調理法を紹介し、冬野菜の魅力を深掘りします。

冬野菜
iStock:484905716

「ちぢみほうれん草」は一般的なほうれん草より
栄養価が高い?

 冬野菜が甘くなる理由は「低温順化」現象にあります。野菜は寒さに適応するため、細胞内に糖分などを蓄積し、凍りにくくします。低温下では、成長が抑えられ、糖分が野菜内に貯まります。さらに、寒さによって根が土からの水分を吸収しづらくなるため、野菜全体の成分が凝縮され、味が濃く、甘みが強くなるのです。

 その違いがはっきりわかる野菜の一つがほうれん草です。冬のほうれん草は、ほかの季節と比べて葉の色が濃く、甘さが際立ちます。選ぶ際には、茎と葉がみずみずしく張りがあり、濃い緑色を基準にするといいでしょう。根元のピンク色は、ビーツなどに含まれる植物色素と同じ抗酸化成分を持つポリフェノールの一種の「ベタレイン」によるものです。栄養価が高いため、捨てずに食べるといいでしょう。

 ほうれん草の中でもとくにおすすめなのが、冬に出回る「ちぢみほうれん草」です。この品種は寒締め栽培によって、甘さと旨味が濃縮されています。寒締め栽培とは、暖房を使用せず寒い環境下のハウス内で栽培され、出荷の5日前から夜間にハウスの窓を開放して冷たい外気を取り入れる栽培手法のこと。昼夜の寒暖差が大きいほど糖度が高まり、ビタミンCβカロテンなどの栄養成分も豊富に含まれるようになります。一般的なほうれん草の糖度は5度前後なのに対し、「ちぢみほうれん草」の糖度は10度前後に達します。

冬ほうれん草,ちぢれほうれん草
iStock:1817462349

 この品種は厚く縮れた葉と太い茎が特徴で、縦に伸びずに地面を這うように横に成長し、一般的なほうれん草とは少し形状が異なります。甘みが強くえぐみが少ないので、オリーブオイルでさっと炒めて塩を振るだけでも簡単に楽しめます。根本から1枚ずつ葉を取って洗い、切らずにそのまま強火で炒めてください。全体のかさが半分くらいに減ったら食べ頃です。

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記事執筆者

梅田 みどり / 料理研究家・野菜ソムリエ
野菜の魅力を生かし、誰もが簡単に作れる健康的でおいしい料理を提案する料理研究家。年間200回の料理教室を開催し、老若男女問わず料理を楽しむ場を提供している。さまざまな角度から野菜について解説した書籍を上梓するほか、講演活動や商品開発など多岐にわたる活動を展開する。
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