思いやりが欲しい
米国最大のドラッグストアチェーンのウォルグリーンの店舗訪問客数が過去20ヶ月連続で前年を割っている。グレッグ・ワッソンCEO(最高経営責任者)は、『フォーチューン』誌(2013年8月12日号)の取材に答えて、「販促費用を紙媒体からデジタル媒体に切り替えたことが理由だ。しかし表面的に来店客数を増やすだけの投資は行っていない」と自信を覗かせた。
日本でも新聞を読まない人たちが増え、従来の折込チラシの効果に危機感を持った流通企業各社が販促のデジタル媒体シフトに動き出している。しかし、その実情はと言えば、お客たちは、毎日数本も、自動的に暴力的に、手元のスマートフォンを目掛けて送り込まれてくるメールマガジンに辟易とし、ロクに中身など読んではいない。流通企業の「送れば読むはず」という傲慢さばかりが目に付くところだ。
元来、お客とは、賢くわがままなものであり、「かゆい時にだけかいてもらいたい」ものだ。流通企業側の送客の思惑は見透かすし、まして自分が実験のサンプルにされていることも良しともしない。そう、こんなデジタル時代であるからこそ、もっとお客を慮り、ホスピタリティを提供し、“情”にも訴え掛ける――思いやりが欲しい。
『チェーンストアエイジ』誌2013年9月1日号
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