日本マクドナルド 原田泳幸CEO(最高経営責任者) 次期成長戦略を発表!(1)
日本マクドナルドホールディングス(東京都)は11月1日、2012年第3四半期決算と今後の成長戦略について発表した(@ベルサール飯田橋駅前)。企業戦略の発表は、通常は12月期を締め、翌年の2月に実施していたが、次年度以降の方針がすでに確定していることから前倒しした。当BLOGでは、11月2日~6日(3日、4日は休み)の3日間にわたって、原田泳幸会長兼社長兼CEO(最高経営責任者)が発表した次期成長戦略について報告する。(談:構成、文責・千田直哉)
2012年第3四半期(累計)の全店売上高は3939億円(対前期比0.4%増)、既存店売上高は同2.2%減、全店客数は同5.2%増。経常利益は1780億円(同16%減)、当期純利益は100億円で同16%増という結果だった。
現在の外食産業のマーケットを俯瞰すると、IEO(Informal Eating Out:主に飲酒を目的とした業態および給食施設を除いた外食マーケット)市場が縮小し、HMR(Home Meal Replacement:家に持ち帰り食べる調理済み料理)にシフトしている。
リーマンショック後や「3・11」(東日本大震災)直後も、こうした傾向は顕著に表れている。IEOマーケットは対2011年比で6.1%減という状況だ。
しかしながら、そうした状況の中で、当社のシェアは0.4ポイント(pt)増加している。
とくに、2012年は5月から「バリュー戦略」をスタートさせ、6月~9月のランチタイムのシェア獲得に専心した。
その結果、来店客数のシェアは対前期比で1.4pt増になった。
同じく5月に発表した「¥100マック」の新メニュー「チキンクリスプ」は、若い世代の新規顧客獲得に寄与、そしてコーヒーで年齢の高い男性の新規顧客を獲得するに至っている。
店舗・出店政策に目を向けると、当社は、これまで店舗ポートフォリオの最適化を進めてきた。ゴールドスタンダードドライブスルー(大型ドライブスルー:以下、GSDT)を中心とした新店舗開発、433店舗の戦略的閉店、戦略的リロケーションなど、店舗ポートフォリオ改革は着実に成果を上げている。
出店では、数年前から、とくに地方の郊外にGSDTを増やしてきた。今後、新規オープンの9割以上が地方郊外のドライブスルーになる。そのGSDTのパフォーマンスは、売上伸び率、利益率ともに全店舗の平均を2pt以上上回っている。したがってGSDTのさらなる展開が成長戦略の柱になっていく。
次に、戦略的閉店だ。7~8年前には、全国の店舗数は約3900店舗あったが、そのうちの「成長を望めない」「利益が出ない」「フルメニューを提供できない」店舗を対象に、2年前に433店舗のクローズを決行した。売上高では約500億円が減少することになったが、ここでやるべきだと判断した。
仮に、これを敢行していなければ、大変な業績悪化をもたらしてしたというシミュレーション結果が出ている。
433店舗を閉店すると発表した時に、さらに633店舗を次の数年間で入れ替えなければいけない、と話した。実は、その633店舗が今日、当社全体の売上を押し下げている。
すなわち、もっと前向きにスピードを上げ、戦略的閉店を実施していたのであれば、今日の業績はもっとよかったのではないかと考えている。
今後は、長期的かつ収益性の高い成長にフォーカスしていきたい。
簡単に説明すると、売上には質の高い売上と質の低い売上がある。質の高い売上とは、売上と利益を継続的に確保できるものを指す。
それ以外は短期的でスポット的であったり、売上や利益が出ても多大な投資が必要だったりするものだ。売上をつくったとしても、次の売上を押し下げてしまうようなものである。
典型的な事例は、牛丼チェーンの低価格競争だ。熾烈な価格戦争を繰り広げた結果、次年度の業績がどうなったかと言えば、周知の通りである。
では、当社には、その類の質の低い売上はなかったかと言えばそうではない。
たとえば、「ビッグマック」を200円で販売したことは、売上と利益に大きく貢献してくれた。ただ、よく見てみると、プロモーションを実施している期間の売上はグンと上がる一方で終わると下がってしまう。次の機会にまた200円で売れば、売上は上がるが、終わると下がる。
しかも、その下がった売上の位置が徐々に下降していくのだ。
これが極めて大事な分析のポイントだと思う。
だから、今後、こういった性格のプロモーションは一切やらない、と決断し、今年は、これまでの売上を犠牲にしてもやらないと決めた。
ただ、今日現在、行っている「フライドポテト」150円、というのは性格の違う話である。フライドポテトは、コア商品にプラスオンで買っていただく商品だからだ。
そういったことを中心に据え、当社は継続的に売上と利益を稼いでいきたい。逆にそういうことにつながらないビジネスモデルは一切排除していく。
この厳しい環境の中であえてそういう決断をしたことが、向こう3年の健全な成長につながるはずだ。
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