アマゾン・ドット・コム
現在発売中の『チェーンストアエイジ』誌2015年10月15日号の特集企画は、「アメリカ小売業大全2012」である。
これ1冊を読めば、アメリカ流通業の現況がほぼ理解できる仕様になっているので、是非、お読みいただきたい。
目玉の記事はアメリカ小売業TOP100社ランキングだ。
弱肉強食、消長の激しいアメリカ流通業界において、数年単位で目まぐるしく入れ替わる売上高順位を発表している。
今回の最大のトピックスは、アマゾン・ドット・コムが前年13位から10位にランクアップし、トップ10入りを果たしたことだ。
売上高480億7700万ドル(対前期比40.6%増)、純利益6億3100万ドル(同45.2%減)というもの。注目すべきは、その店舗数で、当然のことながらゼロだ。
創業者のジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)は1964年生まれ、と私と同世代。1994年7月にカダブラ(現:アマゾン・ドット・コム)を設立し、1995年にアメリカでネット書籍販売をスタート。2000年11月には日本での展開も開始した。
創業または日本進出当初は、「本のネット販売会社」と思われており、書店以外は大きく影響を受けないと言われていたものだった。
ところが、短期間のうちに取扱カテゴリーは拡大の一途を辿り、現在は生鮮を含む食品や日用品、衣料、DIY、クルマ用品など…何でも送料無料で入手できるようになっている。
そして、これは、ほとんどの小売業がアマゾン・ドット・コムの競争相手であることを意味する。
今後、アマゾン・ドット・コムがいかなる成長カーブを描いていくのか否かは、残念ながら想像もつかない。
しかし、TOP10入りは、これまで実店舗を中心にしてチェーン化を図り、企業規模を拡大してきたチェーンストア企業にとって、ひとつの転換期になるような気がする。
私がダイヤモンド・フリードマン社に入社した時には影も形もなかったビジネスモデルや企業が、30歳の若者によって創造、創業され、およそ15年で売上高4兆円規模に成長してしまう怖さは否めない。
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