ポーチボレー
テニスをご存じの方々にとっては、釈迦に説法の話だが、テニスのダブルスの戦術のひとつに《ポーチボレー》というのがある。
自分のパートナーに打たれたボールに対して、飛び込むような格好で横取りして打つ奇襲的ボレー攻撃のことを言う。
自分のパートナーが1つ前に打ったボールの性質を見極め、次に打ってくる相手の目線やテイクバックを勘案するとともに、心理的な駆け引きもあるので、《ポーチボレー》を成功させることは見た目よりもかなり難しい。
それらを加味した上で、咄嗟に判断し、動くことが求められるので、コーチからの球出し練習ではなかなか身に付く技術ではない。実戦で何度も失敗を繰り返しながら、地道に習得していくしかないのである。
だから、習得に当たっては、失敗を恐れずに実戦の中で《ポーチボレー》にどんどん出ていくことが大事になるのだが、現実の試合になると、勝ちたい一心やパートナーへの配慮から、より安全度の高いショットに終始して、簡単には出ていかなくなってしまう。
ただ、実戦で危険を冒して《ポーチボレー》に出なければ、いつまでたってもスキルアップはしない。
たとえその試合は勝ったとしても、そこで成長はストップし、次のステージにはいけない。
だから、長期的な視野に立てば、《ポーチボレー》に出まくり、失敗することがひいては自分やペアのためになる。
ところが、そんなことはわかっているにもかかわらず、不思議なほどにそれができない――。
話は飛躍してしまうけれども、企業や組織も似たようなところがある。
堅実に勝ちにいくのはとても大事なことなのだが、目先の勝ち負けだけにこだわり、冒険をせず、安全策に終始し、磨きを怠るようだと、次の発展ステージにはたどり着けないからだ。
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