不誠実な商売
真夏の急な葬儀に参列するために、喪服を買わなければいけないことになった。
葬儀を翌日に控え、時間がなかったため、自転車で3分ほどの路面専門店で購入することに決めた。
ただ事前に相場くらいはチェックしておこうと考え、一般的なフォーマルスーツの価格やその路面専門店企業のホームページにも行き、価格を調べた。
さて、入店すると、ネットの価格よりも、随分高い。計算するとどのスーツもちょうど2倍で売られている。
「これならネットを通じて買わないとバカバカしい。でも時間がない」と思いながら、ダメモトで店員さんに「ここに来る前に御社のネットで価格を見てきたけど、店頭価格は随分高いんですね。やっぱり、ネットで買った方がいいんですかね?」と聞いてみた。
すると、その店員さんはあっさり。「あっ、ネットの価格に合わせますから…」と言って、カウンターにあるパソコンのキーボードを叩き、自社のネット価格を確認した。
「そうですねえ。確かに店頭価格は高いですねえ。全部2倍ですよ」と頭を掻きつつ、喪服選びを手伝ってくれ、加工場に回し、15分後には難なく、ネット価格で黒のスーツを手に入れることができた。
店員さんには、何の落ち度もなく、むしろ親身になってくれているわけだが、店を後にしていやな気分になった。
たまたま事前にネットを見て、そのことを伝えたら半額(2万9500円)。そのプロセスを経ない客は正価(5万9000円)で買わされる――。
不誠実な商売だと感じたからだ。
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