ストアーズ社の風間晃さん
本当に突然の訃報だった。
駆け出し記者のころから、大変お世話になったストアーズ社(東京都/大坪喬彌社長)の取締役編集局長風間晃さんが5月20日に急逝した。享年60歳。
ストアーズ社は、『週刊デパートニューズ』『月刊ストアーズレポート』主に百貨店業界に関する新聞・雑誌の発行や流通業界に関する刊行物の発行を発行している出版社で作家の椎名誠さんが在籍していたことでも有名。著作の『新橋烏森口青春篇』(新潮社)、『銀座のカラス』(同)などには当時の様子がずいぶんと描かれている。
風間さんの本名は菊池晃という。しかし、ストアーズ社に兄の菊池仁さんが在籍していたので、「間違いをなくすために…」、風間姓を名乗るようになったそうだ。
風間さんが、ストアーズ社に入社したのは、椎名さんが退社した後――。
まだまだバブル突入前の百貨店業界の良い時代だ。その後、百貨店は隆盛期を迎え、バブル崩壊以後、徐々に市場規模を縮小させ、現在に至っている。
このところは、“斜陽”とまで揶揄されるようになった百貨店業界ではあるが、風間さんは、現実を直視し、鼓舞し、激励し、多種多様な切り口で、業界を元気づけるように努めていた。『月刊ストアーズレポート』のバックナンバーを読めばよくわかることだ。
私の知る風間さんは、豪快な男だった。斗酒をも辞さない飲みっぷりと軽快な話術、ムーディーな歌声で周囲をいつも楽しませてくれた。
そういえば、第63回の日本ダービーの優勝馬が「フサイチコンコルド」であることも予想してくれたっけ。
一方、仕事の面では真面目一徹で厳しかった。
時々、原稿をお願いしたが、いつでも必ず引き受けてくれ、どんなにタイトな締切でも厳守してくれた。
仕事も遊びも大好きで、百貨店業界はもちろん、われわれの属する《流通報道》の世界においても誰からも愛された。
ただ、長年にわたって積み重ねてきた身体や精神への無理が風間さんの身体を徐々に蝕んでいったことは想像できる。
安らかにお休みください。合掌。
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