マルエツ、髙橋八太郎さんのこと
マルエツ(東京都/髙橋惠三社長)の元会長兼社長の髙橋八太郎さんが平成23年12月14日に亡くなった。享年85歳。大正15年、埼玉県生まれ。昭和19年、逓信省仙台地方航空機乗員養成所本科を卒業。埼玉県県税税務署を経て、昭和30年、実父悦三さんが創業した「魚悦商店」に入社した。
昭和34年、品揃えを水産物一本から加工食品、雑貨などにも拡大し、「丸悦ストアー」と商号を変更。昭和40年に開業した第2号店の大宮店(埼玉県)では部分的にセルフサービス方式を導入し、食品スーパー業界に参入。異色だったのは、チェーンストア理論などの座学は一切せず、実践の後に理論をつけてきたような経営をしてきたことだ。
髙橋さんは、「感謝と奉仕の心をもって明るく、さわやかに今日の一日を努めます」という“マルエツのこころ”を社内でよく説いた。
「食品スーパーは、大きな基幹産業のシステムを模倣することで著しい成長を遂げてきた。自然、商人としての気配りや奉仕、こころづかいは忘れ去られていった。でも、私たちはサラリーマンやビジネスマンである以前に商人でなければならないし、食品スーパーは愛情産業でなければならない」。
髙橋さんが熱く語っていたことを今も思い出す。(合掌)
(『チェーンストアエイジ』誌2012年2月15日号)
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