夢の向こう側
ある記者M「夢をかなえるってどういうことだと思う?」
私「えっ? 藪から棒になに?」
M「たとえば子供の時に夢を持つとするじゃない。でも、僕らがそうであったように、ほとんどの人の夢ってかなわないよね」
私「まあそうかもしれないね」
M「だから、多くの人たちは、その次の目標を設けて日々与えられた仕事を頑張ってる。家族や子供の成長に希望を持つということもあるし、まあ、その時、その時の状況に応じて、生きている」
私「普通はそうだわな」
M「ほとんどの人たちが夢をあきらめる格好で生きているわけだからわからないんだけど、夢がかなっちゃった後って空しくないかな?たとえば、子供のころにプロ野球選手を目指して、トッププロになっちゃった場合なんか、次にすることなんて見当たらないよね。監督になって、後進の指導くらいになっちゃうもんね」
私「確かにそうだね。ほとんどの人は夢が達成した向こう側に立ったことがないからね」
M「夢がかなったところで、生活なんてたかが知れてるしね。豪邸って言っても、所詮は人間、『立って半畳、寝て一畳』だし、クルマは1台あれば十分だろうし、食事は日に3回以上食べれば身体にはよくないし、身体は1つしかないから洋服もそれほどは必要ないし、高級クラブで酒を飲んでも、ゴルフや旅行も飽きるだろうし…。夢を実現して、成功してお金をたくさん持つようになっても、そんなに楽しくはないんじゃないかな」
私「そこは、人それぞれでしょ。まあ、でも言いたいことはわかる。成功した事業家なんかは、それで得たお金の使い方で評価が決まるって言われているのは、そういうことがあるからなんだろうね」
M「そう考えると、夢を達成できなかった幸せというのもあると思うんだ。いつもおカネにキュウキュウしながらも、その中で感じる幸せってあるんじゃないかな。その意味では、負け惜しみではなくて、ホントに夢がかなわなくてよかったよ」
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