「正しすぎる」というのは、怖いことだ
「正しすぎる」というのは、怖いことだ。
たとえば、イタリア中部沖のジリオ島近くで座礁した大型客船「コスタ・コンコルディア」号の船長。乗客を残して早々と船を離れ、事故直後の船長と港湾当局者との通話記録が明らかになるにつれ、その無責任ぶりがさらされた。
こうしたニュースを受け、マスメディアを始めとする多くが、こぞって私生活も含めて船長を非難する。「日本人ならこんなことはない」と、ヒステリックにその無能ぶりを指摘する声も挙がる。
死者行方不明者が合計32人にも達する大事故を起こした張本人であるから、「どれもが正論」。それは仕方がない。
ただ確かに、仕方はないけれども、「100%正しい」という位置から一斉に機銃掃射をするというのは、どこか卑怯な気がする。
明らかな非常識書き込みに対して、BLOGを炎上させるまで攻撃し続ける人たちにも似たようなものを感じる。
相撲で言えば、死に体なのにまだ攻めの手を緩めない力士。敗者を口汚くののしる聴衆も同様だ。
しかも、こうした非難の矛先は、「悪」には向かうが、なぜか「巨悪」には向かない。
「巨悪」は、対象が大きすぎて、「100%正しい」というスタンスが持ちえないからか?
大上段からバッサリと斬りつけることはいかにも格好いいし、やっている方はさぞ気持ちいいことだろう。
けれども、きっと、どんな極悪人や盗人にも1%、いや0.5%くらいは理があるはず、と考えれば、もう少し、違うスタンスも取れるというものだろう。
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