1ビット発想はいけません(2)
1月29日のブログの続きです――。
組織も人もなぜ極端な1ビット発想をしてしまうのだろうか?
私なりに考えるなら、それは単純で簡単で楽だからである。
たとえば、組織を動かすときに、「進む」「退く」の2進法であれば、統制することはたやすい。ところが、ここに、ファジーな「状況に応じて進退を決める」などというコマンドを持ち込むと、構成員はバラバラになってしまいコントロールすることが難しくなる。
そこで、リーダーは、単純な1ビット発想で組織を動かすことになる。
個人の場合も似たようなものだ。
大体、物語としておもしろいのは良い人間か悪い人間かのどちらかしか出てこない勧善懲悪ものだ。仮面ライダーかショッカーかである。
極悪人にも良心があるなどと考えてしまったら、複雑になり過ぎて、ストーリー展開が難しくなってしまう。そこで単純で簡単で楽な白黒のどちらか色を付けることに走る。
坪内逍遥が文芸評論『小説神髄』で勧善懲悪を説く小説を勧懲小説と呼び、時代遅れの産物であると遥か100年以上も前に否定しているにもかかわらずだ。
科学や技術の進歩で、われわれは過去よりも確実に進化してきたような自負があるけれども、その象徴ともいうべきコンピュータの2進法発想に振り回されて、逆に退化しているのではないかと思えてくる。
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