メディアとしてのマンガ
社団法人日本雑誌協会(東京都/上野徹理事長)によれば、少年コミック誌では『週刊少年ジャンプ』(集英社)の発行部数は295万部、『週刊少年マガジン』(講談社)が236万部、『コロコロコミック』(小学館)は108万部、『週刊少年サンデー』(小学館)は106万部。男性向けコミック誌では、『週刊ヤングジャンプ』(集英社)が108万部、『ヤングマガジン』(講談社)は101万部、『ビッグコミックオリジナル』(小学館)は96万部――。約100万部を発刊するものだけでも7誌存在する。
日本国内で売上が1億冊達成したマンガ作品は、『ONE PIECE』(尾田栄一郎)、『ドラゴンボール』(鳥山明)、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(秋本治)、『美味しんぼ』(雁屋哲〈原作〉、花咲アキラ〈作画〉)、『名探偵コナン』(青山剛昌)、『SLAM DUNK』(井上雄彦)、『NARUTO -ナルト-』(岸本斉史)、『ゴルゴ13』(さいとう・たかを)、『ドラえもん』(藤子・F・不二雄)、『タッチ』(あだち充)、『鉄腕アトム』(手塚治虫)の11冊ある(カッコ内は作者名)。
マンガは、それほどまでに私たちの生活と密着しており、切っても切れない関係にあると言っていい。
そして、最近のマンガは、メディアとして影響力をますます強くしている。
たとえば、「炎の料理人」として知られる周富徳さんは、『美味しんぼ』の登場人物として、横浜中華街の指導者的人物として描かれている周懐徳のモデルという触れ込みでメディアに登場して一世を風靡した。
また、『専務 島耕作』の中で初芝・五洋ホールディングスの誕生がフィクションで描かれたその後、両社のモデルであるパナソニックは三洋電機を子会社した――という具合だ。
日本の国民的メディアと言ってもよいマンガだが、広告代理店を始め、製造業、卸売業、小売業ともに、その価値にあまり気付いていないような気がする。
コミック誌に掲載される純広告は、クルマやゲームソフトなどが主流で食品や生活雑貨はあまりない。
マンガの作者と組んで、広告したい製品や店舗を作品の中に登場させるというような試みがあってもおもしろい。
いくらデジタル化が進んでも物語の中にあるものをザッピングで飛ばすことはできない。
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