得手で闘う
勝負の世界に生きる者たちには、どんな条件下でも力を発揮できるマルチプレイヤーは少なく、必ず、得意のパターンを持っているものだ。
テニスなら「サーブ&ボレー」「ストローク」、ボクシングなら「ファイター」「ボクサー」、将棋なら「居飛車」「振り飛車」…。
だから、プレイヤーは勝負の場において、自分の得意なパターンに相手を引きずりこむことに専心する。また、その攻防が勝負を観戦する際の醍醐味でもある。
小売企業の場合も同じなのではないか?
過去の沿革や企業風土によって、得手とする戦法が遺伝子の中に刻み込まれているはずだからだ。
ところが、ここにきて、DNAを勘案せず、無理矢理、闇雲に新しい土壌で闘いに臨む企業を多く目にする。
“安売り”は、その典型だ。
値引きの裏付けや体質を持たないまま低価格を打ち出すから無理が生じ、企業は疲弊してしまう。不得手とする戦場に自ら進んでしまっているのだ。
こんな難しい時代だからこそ、自社の得手、不得手を今一度、確認したうえでの戦法策定が求められている。
『チェーンストアエイジ』誌2010年5月15日号
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