マーケティングカンパニーとしてのユニ・チャーム

2010/08/08 19:32
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 マーケティングを「顧客の維持、深耕・創造にかかわる一切合切」と位置付けている視点で見ると、ユニ・チャーム(東京都/高原豪久社長)こそ、本当のマーケティング会社だ。

 

 創業以来、長年培ってきた不織布・吸収体の加工成形技術を使い、市場に先駆けて新商品を開発してきた。

 1963年に生理用ナプキン市場に参入を果たすと、76年には薄型ナプキンの「チャームナップミニ」を発売。その後も機能性の追求を止めることなく、メッシュナプキンの「ソフィサラ」や立体サイドギャザー付ナプキンの「ソフィサラサイドギャザー」や立体クッション構造ナプキンの「チャームボディフィット」などを発売。またワイド型ナプキンの「ソフィワイドガード」やパンティライナーの「ソフィ Kiyora」など毎年のように新機軸の商品を市場に投入し続けてきた。もちろんこの分野のシェアは首位だ。

 

 ただ同社の凄さは、魚群をキャッチするとすかさずその方向に舵を切るスピードにある。

 81年にベビー用紙オムツの「ムーニー」を発売して、ベビーケア市場に参入すると、92年には、世界初のパンツタイプではかせるオムツの「ムーニーマン」を開発。育児生活の向上に貢献している。06年には汗ケアパンツオムツの「ムーニーマン汗スッキリ」では、“汗ケア”という新しい機能も付加した。

 

 また、超高齢化社会を見据えて、排泄ケアの「ライフリー」を95年から発売。「自立と尊厳とゆとり」の提供をめざし、身体の状態に応じた商品を提供する。

 

 さらには、いまやコンパニオンアニマルと化した、ペット市場にも参入。犬用には排泄シート「デオシート」や紙オムツ「ペット用紙オムツ」、猫用には猫砂「デオサンド」、システムトイレの「1週間消臭・抗菌デオトイレ」などを提案する。

 

 同じ基礎技術をこれだけ多くの分野に時宜を得ながら活用し、ヒットを飛ばしている企業は少ないのではないだろうか?

 もう少し、深く研究してみたい企業である。

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