出店した時点で赤字確定の店舗をつくらないために
生前渥美俊一先生は口を酸っぱくさせながら、「不動産費は、経営者、開発担当、財務担当の3者だけで決めることができ、もっともコントロールしやすいコストだ」と話していた。「その通り」と膝を叩いていたものだが、うまくできている企業は数少ない。
店舗開発費の低減化を継続して実践している企業としてすぐに思い浮かぶのは、しまむら(埼玉県/野中正人社長)、コメリ(新潟県/捧雄一郎社長)、ベイシア(群馬県/高山正雄社長)グループなどだ。聞けば、立地選定はトップの専任項目であり、自らが現地に赴き、あるいはビデオテープで確認してから出店を決めるという。
構造的に低コスト経営をしている企業の裏側には必ず仕掛けがあることを思い知らされる。
一方では、物件開発したものの、入居者が決まらないために、高い家賃での出店を子会社に押しつける企業もある。
出店した時点で赤字化濃厚の店舗であり、不採算店舗として子会社のお荷物になり続ける。出店後に、人件費や広告宣伝費をカットに努めても、後の祭りでもう追いつかない。
どうにもならないことではあるのだが、気をつけたいものである。
(『チェーンストアエイジ』誌 2010年11月1日号)
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