渥美先生と“釣り”(2)
「サーモンフィッシングこそ接待の王様」と言うのも日本リテイリングセンターの渥美俊一先生だ。
サーモンフィッシングの釣り場である川岸に宿を取り、そこを拠点にボートでポイントに繰り出す。「ゴルフよりも遥かに充実しているし、会話もたくさんできるのでサーモンフィッシングで接待する欧米のエグゼクティブは少なくない」という。
サーモンフィッシングのメッカはカナダ、と遠いが、コンサルティングをしている企業のトップたちを海外に連れ出すこともある。
ロッジから2人1組でボートに乗せる。大自然の絶景を前に同じペアが2日間も顔を合わせ続けると変化が起きてくる。
2人とも釣れない場合、初日と2日目と釣れる人が異なる場合、2日間とも同じ人が釣れる場合…いずれの場合も、2人の間には一種の仲間意識が生まれるのだ。
先生は「このことが契機になっているかどうかは証明できないので何とも言えないが…」と前置きをしたうえで、「帰国後に同じボートに乗った2人の企業が、業務提携や資本提携に走ったケースもあった」ことを教えてくれた。
ウォルマート創始者である故サム・ウォルトンとP&G社の営業担当副社長(当時)であったルー・プリチェットがスプリング・リバーでの2日間に及ぶカヌー下りを通じて、戦略的同盟関係を構築したことを彷彿させる。
しかし、もし、提携促進を意図して、乗船者2人の組み合わせを決めていたとしたら――。
“釣り”は先生の最高の接待ということができるかもしれない。
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