いま迫りくる新型インフルエンザ危機
新型インフルエンザである。アメリカでは今年4月から10月までの6ヶ月間で2200万人が感染し、約3900人が死亡。日本でも合計で約50人を死に至らしめている。
学級閉鎖や休校、また、わが子が罹患するなど、20歳以下と同居している方は、とくに間近に迫る危機を実感しているかもしれない。
しかしながら、20歳以下の若年層との同居がない世帯、単身世帯や老夫婦世帯などは、迫りくる脅威にいまひとつピンと来ていないのが実態だろう。いまのところ20歳以降の世代では、大流行の兆しを見せていないからだ。実際、生徒の多くが新型インフルエンザにかかるものの、先生はピンピンしているというような学校は少なくない。
その理由については、さまざまな憶測が流れている。
けれども、心配症の私は、弱毒性の新型インフルエンザが若年層の体内で強毒性に変異して、それ以後の世代に猛威をふるうのではないかと、ついSF的な想像をしてしまう。
こんな邪推をしてしまう発端は政府の対応にある。
新型インフルエンザがメキシコで発生した際に、舛添要一前厚生労働大臣の打った策が「水際食い止め作戦」だったからだ。その効果については賛否の分かれるところだが、「何をやっているのか!」という論調が多かったことは事実だ。
詰まるところ、政府も現代医学も新型インフルエンザに関する詳細な情報は持っていないことを露呈させてしまったわけだ。ワクチン接種の対象年齢や回数にしても、いまだに二転三転している近況は、不安をいっそう募らせる。
新型インフルエンザは、天災にも似た事態なので、誰も攻め立てることはできない。ただ、いま迫りくる危機に、ほとんど無策の現状は、あまりにも歯がゆ過ぎる。
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