消化試合に勝つことが自分を強くする
一昨日は、福岡ソフトバンクホークスが7年ぶりになるパシフィックリーグの優勝を決め、溜飲が下がった方々もさぞかし多かっただろう。
残り6試合で、埼玉西武ライオンズとの3.5ゲーム差をひっくり返しての大逆転優勝。2005年にソフトバンクがダイエーから球団を買収してからは初めての優勝ということもあり、博多の街もたいそう盛り上がったはずだ。
だが、天の邪鬼の私は、あえてソフトバンク優勝当日の対戦相手だった楽天ゴールデンイーグルスに注目したい。
一昨日の晩は、ソフトバンクを本拠地クリネックススタジアム仙台に迎えての一戦。試合途中でソフトバンクの優勝を決める西武敗戦の一報が届いた中でのものだった。
この試合を楽天は西武に8対3と圧勝。ここが注目のポイントだ。
もはや5位のオリックス・バッファローズに14ゲーム差をつけられ、最下位確定の楽天は、ソフトバンク戦がどうなってもよかったはずだ。目の前で胴上げを見せつけられる屈辱こそあれ、勝っても負けても、自分のチームにはほぼ何も関係ないからだ。
逆にこの最終試合にマジック1で臨んだソフトバンクは、何が何でも勝たなければならなかった。
2チームのモチベーションは雲泥の差だ。
ところが、消化試合のようなこういう試合に勝つことこそが大事だと、棋士の米長邦雄さんは言う。
「プロ野球の場合、年に130試合以上ありますので、順位が途中で決まってしまいます。その際、消化試合を全力で戦うかどうか、勝利の女神はそこを見ている。証明できることではありませんが、私個人としては、おそらくそうに違いない、と感じています」(『運を育てる』:祥伝社刊)。
たとえば、棋士の場合、相手にとっては昇級がかかった大事な一戦。自分は勝っても負けても関係ない局に勝つことが、その人を強くするというのだ。
相撲で言えば、相手は7勝7敗で千秋楽。自分は10勝4敗、または4勝10敗の時に、しっかり勝つことが自分を強くするのである。
そして、もしそうであるならば、来期の楽天は大注目株だ。
同じ理由で、一昨日、読売ジャイアンツに勝った横浜ベイスターズも相当期待できる。
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