①よりおいしい、②健康・栄養、③エコの切り口で需要創造
少子高齢化の進展にともない、日本には人口減少社会が定着している。
そんな風潮を新しい現実として受け入れ、新しい標準をつくり、成長を重ねているのが味の素(東京都/伊藤雅俊社長)だ。2010年度第2四半期決算説明会(@宝町本社)での伊藤社長の話を紹介する。
食品は、もう10年前から量的には横ばいの状態が続いている。
こうした中では、商品に付加価値をつけ、市場にマッチさせ、新しい需要を創りだすことが大事だ。
味の素としての具体的な切り口は、①よりおいしいもの、②健康・栄養、③エコの3つだ。
①よりおいしいものを食べたいという人間の欲望はすさまじい。冷凍食品などにもバリューを付加しておいしいものにしている。
②も大きなテーマだ。健康ということでは、塩、脂、砂糖、カロリーなどの摂取過剰は先進国では大問題となっている。米国では、医療費の問題も相まって、今年末にかけて大変な規制が起こると予想される。ただ、これらの含有量を削減すると、食品というのはまずくなる。そこで代替品としてうまみ成分をうまく使えないかと考えている。
③のエコということではいまの消費者を私はROI(return on investment)消費者と呼んでいる。投資額に対してリターンを最大にするような行動を見せているからだ。
いまや、消費者というよりは、ディフェンダー(防衛者)といってもいいような感じになっている。その消費者は華美なパッケージよりもシンプルで価値のあるものを好むだろうから、パッケージの在り方についても考えたい。
また、新しい需要を創るにはキャンペーンなども重要だ。
今年はカップスープの『クノールスープ』とパンを食べる新提案ということで、「つけパン」「ひたパン」のキャンペーンを実施している。カップスープにパンをちぎってつけて食べる、ひたして食べるというものだ。この話を最初に聞いた時には「こんなものが受けるのかな」と疑問を持ったが、ふたを開けてみれば好調で、私のような古い感覚は駄目だと反省している。
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