16年前の日記から(1994年11月15日)
細川護熙元首相には失望させられた。
「権不十年」を謳って熊本県知事のイスを返上した人物が連立内閣のヘッドになったと耳にしたときには、何かやってくれるかもしれないな、と大きな希望を抱いたものだ。あのボールペンで記者を指す仕草でさえ新鮮に映った。
それがわずか8カ月の短命政権。しかも辞任の理由が、政治家ならではのカネ・株に絡むものと聞けば、「ブルータス、お前もか」と愚痴のひとつもこぼしたくなってしまう。
だが、続く羽田孜さんにも密かに期待を寄せてしまった。しかし、首相としての彼は、たった2カ月。特筆すべき功績もない。「ブルータス、やっぱりな」と政治に対する諦めは次第に怒りに変わってしまう。
さて、現職のトンちゃんこと村山富市首相には期待をかけるべきか否か。これまでの経緯を考えると、やめておいたほうが身のためともいえそうだ。
そして、そんな経緯をたどって政治に対して無関心になっていってしまうのは案外私だけではないのではないか。
しかしながら、よく考えてみると、政界ほど新しい風が吹きにくい世界も少ない。多くの政治家は、「権、数十年」。そのうえ、組織票をバックにしたサラリーマン政治家や世襲議員が依然主流となれば、心底フレッシュ感のある人材は現出しにくい。
だれが首相になっても政治に大きな変革がもたらせないのは、単に官僚システムの問題だけではなく、選挙という構造にも大きな欠陥があるような気がしてならない。
確かに、われわれは選挙民として1票を投じ、政治に参加することはできるが、その選択対象となる被選挙人は、ほとんどの場合、われわれとは関係ない場所で決まってしまっているのだ。
時としては、“マドンナ旋風”や“新党旋風”が起こりえるのかもしれない。だが、それはきわめてまれなケースに過ぎないし、大きな変革にはつながらない、と言っていい。
昨日、退陣と辞任を表明した鳩山由紀夫首相、小沢一郎民主党幹事長について思うことは、実に16年前の私の感覚と全く変わっていない。
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