”経済”と書いて”せいじ”と読む時代
「経世済民」という言葉は“経済”の語源だ。「世を経(おさ)め、民を済(すく)う」ことを意味し、かつては“政治”そのものを指した。いまのように“エコノミー”を意味する言葉になったのは、ずいぶん後のこと。80年代後半、竹下登元首相が田中角栄に反旗を翻しつくった“経世会”も語源は「経世済民」だった。
日本では国民不在の政治が長く続いている。100年に一度の経済危機というのに、日本の景気刺激策は2度の補正と来年度予算で12兆円(真水)。米国の75兆円、中国の57兆円との比較では質量ともに見劣り感がある。定額給付金で日本経済が活性化するとは誰も思っていない。
政治が民を済えないなかでユニクロの傘下の衣料店「ジーユー」が980円のジーンズを発売。ニトリは合計1300品目の値下げを実施し、民に済いの手をさしのべている。こんな動きを見ると、“経済”と書いて、“せいじ”、と読む時代に逆戻りしているような感覚にとらわれてしまう。
『チェーンストアエイジ』誌2009年4月1日号
千田直哉の続・気づきのヒント の新着記事
-
2024/07/03
「何にでも感激する経営者」の会社が業績が良い“意外な”理由 -
2024/06/07
経費率16%なのに?ローコスト経営企業が敗れ去るカラクリとは -
2024/05/23
キットカットをナンバーワンにしたマーケター「アイデアより大事なこと」とは -
2024/04/15
スーパーマーケット業界のゲームチェンジャー、オーケー創業者・飯田勧氏の経営哲学とは -
2024/02/23
「ダイソー」創業者・矢野博丈さんが「会社は潰れるもの」と考えて経営にあたった真意 -
2023/10/30
スポーツの番狂わせと企業の好調要因がどちらも「偶然」ではない理由
この連載の一覧はこちら [1787記事]
![千田直哉の続・気づきのヒント](https://diamond-rm.imgix.net/wp-content/uploads/2021/05/20210514_chiefblog.jpg?auto=format%2Ccompress&ixlib=php-3.3.0&s=ebefbdfd159307ddf75e7a10016248a0)