記者会見場で新浪ローソン社長に思ったこと
「驚きの商品開発プロジェクト」をスタートさせたローソンの記者会見の一コマ(7月14日@ホテル西洋銀座)――。
目玉商品として試食の俎上にあがったのは、「スタミナ牛焼肉弁当」(380g)。三菱商事の協力を得て、原材料調達まで遡って仕入れを見直し、新しい機械の導入で生産性向上を図り、コストダウン。従来700円程度の価格で売られていた商品を450円で売り出すというものだ。
記者会見開始は昼の12時30分。そこで試食を期待して腹を減らした記者たちに配られた弁当は、ハーフサイズだった。
「いま廃棄が問題になっており、廃棄ロスをなくそうということで、ハーフサイズにしました」と司会者。
そこにすかさず、「昼ゴハンを食べて来なかった方には申し訳ないですね。フルサイズで出せばいいのに。 ケチるな! フルで食べないと“驚き”を感じないじゃない」と口を挟んだのは、新浪剛史社長だ。この記者を配慮した当意即妙の突っ込みで、その場の雰囲気をさらに和やかにした。
新浪社長は会見の名手だ。PRしたい事柄の問いに対しては「いい質問ですね」と記者を持ち上げ、気分良くさせる。また、回答希望者として指名されなかった次の質問では、いたずらっ子のような表情でさっとマイクをたぐり寄せ、「私がお答えしてもよろしいでしょうか?」と記者に念を押す。
人を惹き付けるタレント性によるところも大きいのだろう。この日の記者会見は満員御礼。商品説明会ではなかなかここまで盛況にならないのが普通だ。
広報活動は、良い時期のアピールではなく、必ず訪れるはずの悪い時期を念頭に実施すべきだと私は考えている。新浪社長の手法と記者との距離の置き方は、その意味でも群を抜いている。
心配なのは、あまりに突出しすぎているので、後進育成が難しそうだということくらいか。
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