コンビニであったちょっといい話

2009/12/16 00:00
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 あるコンビニエンスストアの前にワンボックス型のクルマが止まった。

 降りてきたのは、建設作業員。男は、即座にレジカウンターに突進する。

 レジを担当していた女性は、彼の顔と出で立ちを見て、昨日の朝も立ち寄ってくれたお客であることを瞬時に思い出した。

 《まっすぐこっちに向かっているのだから、買いたいのは昨日購入したタバコに違いない。》

 すかさず、オーダーされる前に、ショートホープを4箱揃えて、差し出した。

 

 次の瞬間、「うーう」と声を上げながら、男が泣き出した。

 

「何かお気に召さないことがありましたか?」と女性――。

 

「俺は、いろんな店に行くけど、俺のことを気にかけてくれた店員さんがいる店なんかなかった」。

 何回かしか買い物をしたことがない自分に、無言のうちにタバコの銘柄、個数まで間違えずに出してくれた女性の厚意に対しての嬉し泣きだ。

 

 男は、親方だった。連なって駐車していた3台のワンボックスカーから全従業員を招き寄せると、感激の接客を再現して、言って聞かせた。

 

「今日から、いまの現場が終わるまで、この店しか使わないぞ」。

 

 宣言通り、現場との往復の途上、朝と夕の1日2回、必ず、その店舗で全従業員が買い物をしてくれるようになった。

 

 現場の作業が完了した最終日には、女性に向かって、全従業員が敬礼。お礼を言い、別れを惜しみながら、クルマに乗り込んだという。

 

 スリーエフ(神奈川県/中居勝利社長)のある店舗であった本当の話だ。

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