“洗濯大臣”の選択
家では“洗濯大臣”に任命されているので、洗剤の選択には慎重だ。この3月ごろ、そばの西友の棚を前に思い悩んだ。
「KY」(カカクヤスク)を掲げる西友が、EDLP(エブリデー・ロー・プライス)を徹底させ、それまで割高感のあった液体洗剤を粉末洗剤と同価格の278円で売り始めていたからだ。
ジョギングが趣味で1年を通じて洗濯物のヤマが絶えないわが家にとって、問題になっていたのは不溶の粉末洗剤だった。とくに水の冷たい時期には、濃い色のウインドブレーカーが乾くと残粉がうっすらと白く浮かび上がり、2度洗いすることが多々あった。
しかし、液体洗剤なら、こうした悩みは解消されそうだ。しかも、粉末洗剤も液体洗剤も、1kg当たりのパフォーマンスは同じだという。
結局、その場で「えいや!」と液体洗剤に切り替えた。
それから半年後のいま現在も、“洗濯大臣”は変更路線を厳守し、「たぶん(粉末洗剤に)戻ることはない」とマスコミ各社からの取材に答えている。
ご存じの通り、西友の親会社は米国ウォルマート。ウォルマートとP&Gは、創業者サム・ウォルトン氏の時代から戦略的同盟関係にあり、日本でも同社の商品を格安で提供できる体制を整えている。3月に西友で見付けた液体洗剤もP&G製だった。
7月10日の『日本経済新聞』の報道によれば、液体洗剤の価格は急速に下落しており、衣料洗剤は粉末からの主役交代劇が始まっている。
小売業の安売りが消費者の生活と工場のラインを一変させてしまうくらい影響力があることを思い知らされる。
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