コメダ珈琲店の逆張りマーケティング
コメダ(愛知県/布施義男社長)という会社を知っていますか?
現在、1都2府11県にコーヒーショップの「コメダ珈琲店」376店舗、甘味喫茶の「おかげ庵」5店舗をフランチャイズ(FC)展開する企業である。
創業は名古屋市内に「コメダ珈琲店」を開業した1968年と古い。
FC事業を本格化させたのは1993年から。2003年に関東初進出、2006年に関西初進出と、着々と店舗網を拡げてきた。
店内の特徴は、家庭の応接間やリビングのようにお客の日常に溶け込むことにこだわっていることにある。いつも同じ店で同じ味のコーヒーを楽しめる信頼感、ゆったりとしたテーブルやソファでのくつろぎ、いつでも来店しやすい店であり続けることで得られる安心感、などをどの店舗でも提供している。
価格はリーズナブルで、ブレンドコーヒー380円、レモンティー380円、小倉トースト380円、サラダ480円、エビフライ890円、ソフトクリーム380円といった具合だ。
禁煙席と喫煙席を設け、お客は、雑談をしながら、いつまでも居続けることができる。
日本では1980年代後半から、ドトールコーヒーやスターバックスコーヒーなどのスタンド方式のコーヒーショップが続々と店舗網を拡大させ、これと真っ向から競合する日本の伝統的な「純喫茶店」は、どんどん閉店に追い込まれた。
しかし、その結果、高校生は下校後のおしゃべりの場を失い、サラリーマンはしばらく一服の場を失い、婦人たちは井戸端会議の場を失った。
一見、時代に逆行するように見えるが、「純喫茶店」は、実は現代日本人に求められていたわけであり、コメダの躍進は、それを証明する格好になっている。
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