「世代が下るにつれて人間は駄目になっていく」のでしょうか?
エジプトのある古代遺跡に刻まれた象形文字を解読してみたら、「いまどきの若い者は…」という老人の嘆息だったという。この有名なエピソードが示唆するように、ジェネレーション・ギャップとは古代から現代にいたるまで、夫婦喧嘩よろしく「犬も食わない」類のものかもしれない。
ところが「団塊の世代」「団塊ジュニア」「ゆとり教育世代」といった具合に、私を含め、「世代論」には、案外多くの人たちが興味を抱いているようだ。
そういえば、作家の野坂昭如さんは、「明治の漢詩人野口寧斉が森鴎外を無知とみなし、鴎外が芥川を歯牙にもかけなかった。谷崎は芥川に一目をおき、その谷崎に今東光は平伏し、その東光の博識に柴田錬三郎が仰天、その柴田に野坂はてんで及ばぬ」と書いていた。世代が下るにつれて人間は駄目になっていく、という意味である。
確かに生まれた時代背景や原体験の違いによって、世代とは存在するものだと思う。だが、一般的な「世代論」で結論付けられているように、「若い世代ほど無知で、無礼で、浅薄で、駄目なもの」なのだろうか?
まあ、2009年12月7日のブログで記したように、そうした面があることは否定できない。
しかしながら、あえて極論してしまうなら、それは、世代間の問題ではなく、むしろ持っている情報量や経験量の多寡によるところが大きい気がする。つまり、年長者の方が、長く生きている分、その間にいろいろな情報を収集し経験を積み重ねてきたということ。所詮はスタートラインが違うだけということになる。
それが証拠に、音楽やファッション、芸術などの感性がモノを言う世界やスポーツのように力だけがすべての世界では、「いまどきの若い者は…」的な「世代論」は出てこない。
かの孔子をして「後生畏る可し!」とうならせたのは、この問題の本質を看破していたからに違いない。
だから若者たちは、何を言われようとも、泰然自若と構えていればいい。
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