イトーヨーカ堂 決め技は「プライスハリケーン」「モーニングタイフーン」
平日の午後4時――。
店内に突然、競輪の打鐘(ジャン)を彷彿させるようなけたたましいカネの音が鳴り渡る。次に、まるでパチンコ屋が「出血出玉サービス」を告知するような大音量の男性アナウンスが耳を突く。
それまで、ごく普通に買い物をしていた者にとっては、雷雲が急に頭上に現れ、通り雨にあったような気分にさせられる。
セールの名前は「プライスハリケーン」。仮面ライダーの決め技のような命名だ。
部門ごとに1アイテム、先着20人ほどに限定格安商品をリレー方式で提供していく。
この日のトップバッターは、「雪印 北海道100 カマンベール」(430円、税抜き本体希望価格)で通常売価298円(税込み)を20個限定で193円(税込み、35%オフ)で販売した。2番手は、うなぎの蒲焼き、3番手は…という具合に「プライスハリケーン」はしばらく続き、お客はどの売場に出没するか分からない次の「プライスハリケーン」に店内を縦横無尽に泳がされる。
ちなみに昨日、12月8日の「プライスハリケーン」は、「まるちゃん 赤いきつね」(77円、税込み:20個限定)、「八幡屋 白菜漬 2コ入」(148円、税込み:20個限定)、「国産豚バラうす切り300g入り 1パック」(250円、税込み:20パック限定)、「銀だら切身(解凍) 3切入 1パック」(300円、税込み:30パック限定)、「青森県産 長芋 1個」(50円、税込み:20個限定)、「半透明厚口ゴミ袋 45L 10枚入 1袋」(50円、税込み:20個限定)――。
場所は、東武伊勢崎線「せんげん台」駅徒歩5分の「ザ・プライス せんげん台店」(埼玉県)。イトーヨーカ堂(東京都/亀井淳社長)のディスカウントストア「ザ・プライス」の第11号店。居抜きではなく、初めて新設店による出店となった「ザ・プライス」だ。
これまで、どちらかといえば、紳士的な商売の手法で業界を牽引してきた同社だけに、その変貌ぶりには、非常に驚かされた。
ただし、「プライスハリケーン」が流通業界に本物の“ハリケーン”を巻き起こすかどうかは、いましばらく様子をうかがう必要がある。
※12月9日のブログを更新したところにビッグニュースが飛び込んできました。「ザ・プライス せんげん台店」が12月9日から新しいイベントを実施するというものです。その名も「モーニングタイフーン」。開店の9時から正午までの時間限定で「北海道産原料使用 塩秋鮭切身 1切」(57円、税込)、「正田 特級しょうゆ 1リットル 1本」(97円、税込:1人1本先着200本限り)などが提供されます。
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