週末読書おすすめの一冊:D2Cの本質とは?
D2C ~「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略(株式会社ニューズピックス)
著者:佐々木 康裕(Takramディレクター)
2018年頃から俄かに脚光を浴びているワード「D2C」。小売業界を中心に、多くの業界でバズワード化している。しかしこのD2Cというワード、オンラインストアと何が違うのか?一過性で終わるものなのではないか?こんな疑問を持ってはいないだろうか。
著者の佐々木氏は小売、家電、自動車などの幅広い業界でクリエイティブ、ブランディングを担うデザイン・イノベーションファーム「Takram」のディレクター。著者がD2Cに出会ったのも、まさに自身の体験が始まりであったという。
留学中に偶然体験した新興のメガネ・ブランド「Warby Parker」。購入には結びつかなかったが、返送の案内の丁寧さ、試着に関するお礼、そして魅力的なプロダクト。本書の中でも著者は「試し、購入し、人に伝えずにはいられない。D2Cという分野に属するブランドは、フレンドリーでありクールだった」と、その体験を驚きをもって伝える。
今、あらゆる業界で「売る」という行為に対してのパラダイムシフトが起きている。D2Cで成功をつかもうとしているブランドには、そのブランドに沿った「ストーリー」があり「コミュニティ」があり、それを支える「テクノロジー」がある。
本書は、伝統的なブランドとD2Cブランドの違いを明確にしたうえで、いかにこのパラダイムシフトを攻略するかを示してくれる、D2C戦略における、必読の教科書といえるであろう。