メトロ キャッシュ アンド キャリー ジャパン 代表取締役社長 石田隆嗣
登録制の強み生かし、購買データを活用したマーケティングを本格化する!
メトロの開発商品で、飲食店の差別化を支援
──顧客の価格志向は強まっていますか。
石田 それはもう厳しいですね。ただ、注目されるのは最近、原価率を下げるだけでは、「安かろう、悪かろう」になりかねないので、「他店にないもの、値段の比較ができないものを扱いたい」、あるいは「安くても雰囲気がいいものを仕入れたい」という傾向が強まっていることです。
メトロは輸入商材に力を入れています。たとえば、スペインの立ち飲み酒場のバルが都内で増えています。そういうお客さまがメトロで、安くて、ほかにない商材を購入される。それで、付加価値をつけてビジネスが成功したというお客さまも出てきています。
──価格志向一辺倒ではなくなってきている。
石田 「低価格」はもはや外せません。この先、消費増税が実施され、消費者の財布の紐が堅くなるのは明らかです。価格を高くするのは無理でしょう。これから、リーズナブルな価格で、差別化できる商材の需要が高まってくると思います。差別化が重要なキーワードです。
今、ワインを強化していますが、メトロでしか売っていないワインがほとんどです。ですから、値段はまったくわからない。「メトロだけのワインなので、お客さまにメニュー提案しやすい」という声が少なくありません。
──差別化という点では、直輸入商品を増やしているのですか。
石田 じつは、今まで外資の強みをあまり出してきませんでした。ローカルに根づいてやっていくという基本は変わりませんが、同時にこれからは差別化をしていくために直輸入商品を増やしていこうと考えています。市場自体が差別化を求め始めていますから、われわれにとって追い風です。
最近、面白かったことがあります。フレンチやイタリアンのレストランに何を提案しようかと考えると、普通はワインや肉になります。デザートを提案している卸は少ない。そこで、欧州で展開しているメトロ・ブランドのフローズンタルトを入れてみました。日持ちもよくて、解凍すればすぐ食べられる商品です。これが爆発的に売れたのです。
これからは居酒屋さんでも、女子会向けにデザートを提案できると思っています。スイーツは、マイナーなカテゴリーだったのですが、今は目覚しく成長しています。これまで取り扱うのは無理だと思っていた商材でも、メトロのノウハウを加味することで、“化ける”ものも出てくるでしょう。
──日本独自のプライベートブランド(PB)はあるのですか。
石田 もちろんあります。国内は居酒屋さんが多いですから、日本の食材を開発していく必要があります。今、欧州と国内を合わせてPBは売上構成比で16%くらいです。
PBのラインアップの中に、「ファインフード」という小売店向けのPBがあります。そのまま2次販売できる商品です。最近はコンビニエンスストアでも、一部は店舗の裁量で仕入れができるようになってきています。そのオーナーさんと話したときに、「競合店はどこですか?」と聞いたら、「80m離れた同じチェーンの店舗だ」とおっしゃる。メトロのワインやファインフード、それから生鮮食品などによって差別化できるということで、実際に展開している例もあります。