メトロ キャッシュ アンド キャリー ジャパン 代表取締役社長 石田隆嗣
登録制の強み生かし、購買データを活用したマーケティングを本格化する!
ゼネラリストからマルチスペシャリストへ
──5つのカスタマー・グループのニーズは、おもに顧客の生の声から吸い上げているのですか。
石田 昨年からお客さまの購買履歴データの活用を始めました。われわれは、お客さまの購買履歴データを10年分持っています。これだけのザラ場の購買履歴データを持っているところは、ほかにないでしょう。この購買履歴データを活用して、メーカーさんと一緒に、商品開発や売れる仕組づくり、儲かる仕組づくりを考え、施策に落とし込んできました。
これまで、データは持っていたのですが、統計的なデータ分析はやり切れていませんでした。メーカーさんとの協業も、組織的にやってきたわけではありません。独メトロでも、ここまで深い取り組みはしていません。
われわれは今まで、すべてのお客さまに万遍なく満足していただこうと、「ゼネラリスト」としてやってきました。しかし、これからは「マルチスペシャリスト」としてやっていかなければいけない。そのためには、スペシャリストとして、お客さまのニーズをより深く知る必要があるという考え方に変わっています。購買履歴データの活用は、大きな武器になります。
──5つのカスタマー・グループがマーケティング活動のベースになっている。
石田 根幹です。5つのカスタマー・グループのプロジェクト・オーナーには、それぞれ当社の役員を任命しています。私自身は居酒屋さんの担当です。お客さまとどうコミュニケーションするのか、購買データを分析してどう活用するか。これを組織的にできるようにしたことが、われわれの活動を変えつつあります。これからのマーケティング施策につながっていくと思います。
──データ分析はどの部署が担っているのですか。
石田 マーケティング部です。カスタマーマーケティングの観点から、どのお客さまがいつ、何を買っているのか、どの商品が伸びているのかといったデータを分析して、次の施策に役立てるのです。売上が落ちているお客さまがいれば、原因分析をして、「フィールドフォース」というコンサルタントが出向いて、何が必要なのかを聞くこともあります。
──顧客の購買データと生の声の両方を活用している。
石田 そうです。基本はファクトベースです。1種類のデータだけでは、的確な分析ができません。思い込みではなくて、データや事実に基づいた施策を打つことが重要です。
フレンチレストランのお客さまに、豆板醤を売ろうとしても売れるわけがありません。お客さまは登録制ですから、すべてのお客さまのバスケット分析ができることがメトロの強みです。バスケットの中で核となる商品、買いに来ていただくための核となる商品がわかります。データ分析によって、お客さまに“刺さる”提案が可能になるのです。
また今後はITを活用して、特定のお客さまごと、あるいはカスタマー・グループごとに、価格設定を変えることができるようになります。ディスカウントしてもらって嬉しいかどうかは、カスタマー・グループによって違います。新しいマーケティングツールとして効果が期待できます。
──ワン・トゥ・ワンのアプローチが可能になるわけですね。
石田 店内入口でお客さまの登録メンバーカードをチェックしますので、重要なお客さまが来店すると、従業員にはイヤホンでそれが伝えられます。お客さまが近づいたときに、声をかけたり、商品を売り込んだりするといったことを体系立ててやっています。
お客さまの名前を覚えておくことも大切です。「お客さま、いらっしゃいませ」ではなくて、「石田さま、いらっしゃいませ」と言うと、印象がまったく違うものになります。
マネジャーは、重要なお客さまの顔と名前はすべて把握しています。いい商品が入ったら電話して伝えるなど、コミュニケーションも欠かせません。お客さまと関係を構築するため、ワン・トゥ・ワンのアプローチをするのが、メトロの特徴です。