アスクル代表取締役社長兼CEO 岩田彰一郎
消費者向けネット通販に本格進出、アマゾンとは違う切り口で対抗する!

2013/01/16 13:00
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──既存の機能をそのまま生かせるということですね。

 

岩田 ロハコのメーンターゲットは、「働くお母さん」です。働くお母さんは凄まじく忙しい日常生活を送っています。たとえば、朝早く起きて子どものお弁当を用意して、保育園に連れていってから会社で働き、残業したあと、保育園に迎えに行って、帰りに買物をして帰る。それで、週末にやっと休める──。朝通勤時にスマートフォンで注文したらその日の夕方、あるいは週末に届いている、そんなふうに、働くお母さんを応援したいと思っています。価格や機能がわかっている馴染みのある商品や、重かったり、かさばったりする商品をお届けするという意味から、ロハコは「かるい生活」をコンセプトにしています。

 

 ロハコという名称は、「Lots of Happy Communities」の頭文字からとりました。東京に1人で住んでいても、地方にいる親御さんのためにネット通販で商品を買ってあげることもできます。家族や地域、もっと大きく言えば日本や地球の中に、たくさんのハッピーが生まれるようなインフラをつくりたい、そんな想いを込めています。

ローコストの物流プラットフォームを構築へ

──ロハコは初年度売上高180億円という高い目標を掲げています。

 

岩田 確かに高いハードルです。ただ、アスクルは売上2億円くらいのときから、何千億円という市場で仕事をするんだと考えていました。日本の小売市場の中で、B2C(企業対消費者取引)市場は135兆円といわれています。ロハコは、5年後には2500億円の売上を目標にしていますが、その巨大な市場にチャレンジしているということを社内にも対外的にも伝えるために、高い目標を掲げました。

 

アスクル

 

 ヤフーは、月間利用者数が5000万人、「Yahoo!ウォレット」登録者2300万人で、日本最大のネットのハブです。その利用者にいい商品を紹介して、たくさんのお客さまにロハコを使っていただきたいという思いがあります。ですから、逆に低い目標はつくれません。ただ、商売はそんなに簡単なものではないですから、ヤフー流に言うと「爆速」で、試行錯誤して日々学びながら組織として成長していきたいと考えています。

 

 アスクルもそうなのですが、ロハコは独占や覇権を志向するのではなくて、プラットフォームをオープンにしていこうと考えています。「Yahoo!ショッピング」の出店者にプラットフォームに乗ってもらい、一緒に買えて、ロハコの商品と一緒に受け取ることができるようにするフルフィルメント(注文から発送までの業務)の提供も検討しています。その核となる店舗がロハコということになります。

 

──今期387億円を投じて物流を整備される計画を発表されています。事業の要は物流になりますか。

 

岩田 われわれは、ECR(効率的消費者対応)を基本においています。メーカーの工場からお客さまの玄関先までのプロセス全体を効率化するという考え方です。

 

 そこでは、商品をいかにローコストで運べるかが勝負です。ヤフーとの業務・資本提携によって、物流投資を積極的に推し進め、よりローコストの物流プラットフォームをつくる。そうすると、コモディティを運んでも利益を出せるようになる。先に物流センターをつくるのが大事だと思っています。

 

 既存の6カ所の物流センターは、柔軟な対応をするため賃貸物件でした。現在、B2Bで約2000億円の物量があります。さらなるコスト競争力をつけるためには、所有したほうがいいという判断から、国内の東西2カ所に基幹となる物流センターを所有する計画です。そのあと、地方を埋めていくのは、引き続き賃貸ベースを考えています。投資の大半は基幹の2カ所の物流センターに充てる計画です。

 

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