RSR(Retail Systems Research)マネージング・パートナー ブライアン・キルコース
「参画の時代」が小売業のビジネスモデルを変える!
時代というのは多数の人々が動く時に変わるものなのです。
──それで小売業もリセットの時を迎えていると考えているのですね。
ブライアン そうです。なぜなら、従来の小売業のビジネスモデルは消費者があまり情報を持っていないことを前提にしているからです。
しかし、現在の消費者は情報をたくさん持っています。また、根本的に問題となるのは従来のビジネスモデルでは消費者はお店に行くものでしたが、新しいビジネスモデルではお店は消費者のポケットの中にある、ということです。
もうひとつ。興味深い点として指摘しておきたいのは、以前の商品情報は、パッケージなどに印刷されており、すべてその商品に付随していましたが、現在は分離されていて、情報が独り歩きしていることです。たとえばある商品の購入を検討するに際しては、実際に商品に触れなくても買うことができます。
情報と商品が分離されているのでこうしたことが可能になるのです。今では初めて商品に触れるのは、宅配便から商品を受取った時などということも日常茶飯事です。
5つのCがキーワード
──では、小売業がリセットして、新しいビジネスモデルを創造する際のヒントは何だと考えていますか?
ブライアン 私は、「5つのC」とキーワードを挙げています。従来、小売会社が関心を持っていたのはcommerce(取引)、つまり商品を売ることのみでした。
しかし、ほかにも4つの大切な要素があり、それらはすべて「情報」が主体となっていることに気付くべきでしょう。
残りの4つのCとは、ひとつにカスタマー(customer:消費者情報)です。誰がお客なのか、来店頻度、リピーターか初めてのお客かというさまざまな「情報」です。