【特別対談】小さくても勝てる!ネットスーパーの成功条件とは? スーパーサンシ高倉照和常務×10X矢本真丈CEOが徹底討論!(前編)
――ネットスーパー事業を運営する上では、それを安定的に支えるシステムの存在が重要になります。システム開発については、自社の特性に合わせて独自に開発する方法と、外部ベンダーによるパッケージ化されたシステムを導入する方法の大きく2つがありますが、どちらを選ぶのがよいのでしょうか。
高倉 基本的には後者でしょう。ユーザーに利便性の高い購買体験を提供し、ネットスーパーのオペレーションを安定的に支えるシステムの開発には、膨大な時間とコストがかかり、かつさまざまなノウハウが必要です。
前述のとおり、われわれは1980年代から店舗からの宅配サービスを展開してきましたので、長い年月をかけて自社でシステムをつくってきた経緯があります。しかし今日では個社が独自開発するよりも、商圏で競合しない有力SMが共同でプラットフォームを構築するほうが望ましいと考えています。その一助となるべく、フランチャイズ(FC)方式のネット宅配プラットフォーム「ネットマーケット(NetMarket)」を19年5月に立ち上げました。これにより実際に大きく売上をつくっている最強のプラットフォームと運営ノウハウをほかのSM企業にも導入できるようになりました。
矢本 私もネットスーパーという特殊な事業に対して、専門的に突き詰めてつくられたシステムを使うほうが最短距離でネットスーパーの収益化にたどり着けると考えています。われわれが20年5月にリリースしたネットスーパー向けの基盤サービス「ステイラー(Stailer)」は、「ネットスーパーのオペレーションに必要な機能やこれを支えるシステムは基本的に同じ」とのコンセプトのもとで開発したものです。必要な機能を必要なぶんだけ利用でき、その利用量に応じて課金するいわゆる「SaaS(Software as a Service)」モデルです。国内の小売業界ではまだ馴染みが薄い仕組みかもしれませんが、事業運営に必要な仕組みやノウハウを変動費化して利用できるという点で、経済合理性にも適った手段ではないでしょうか。
「ネットマーケット」について詳しくは http://sanshi.jp/
10Xの「ステイラー」について詳しくは https://stailer.jp/
(後編に続く)