【特別対談】小さくても勝てる!ネットスーパーの成功条件とは? スーパーサンシ高倉照和常務×10X矢本真丈CEOが徹底討論!(前編)

ダイヤモンド・チェーンストア編集部
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ネットスーパー収益化のためには、店舗ビジネスと切り分けた思考を持つことが重要

――一般に、ネットスーパーは収益性の確保が難しい事業だとされています。抜本的な解決策はあるのでしょうか。

高倉 そもそも、固定費型ビジネスである店舗事業と、変動費型ビジネスのネットスーパー事業は、本質的に異なる事業です。店舗事業と同様の固定費型ビジネスのアプローチでネットスーパー事業を運営すると、どうしても赤字から抜け出せません。

矢本 店舗事業で最もコストがかかるのは土地や建物の取得です。これらのコストは固定で発生するため、客数が増えるほど来店客1人あたりのコストが小さくなり、収益が上がります。客数を伸ばし、売上が増えれば、店舗の収益性が高くなるのは、このような仕組みによるものです。
 一方、ネットスーパー事業のコストの大部分は、商品原価、ピッキングなどの作業に従事するスタッフの人件費、配送費といった変動費で構成されています。そのため、受注1件あたりの収益性にフォーカスした「ユニットエコノミクス」をベースとして収益モデルを構築したうえで、受注件数を増やしていくアプローチが適しています。逆にユニットエコノミクスが黒字になっていない状態で客数が増えると、赤字が膨らむ構造でもあります。

高倉 そこの違いを理解できていない人がまだまだ多いのですよね。ネットスーパーで収益を上げるために何よりも大事なのは、まずは経営者が店舗とネットスーパーの本質的な違いを十分に理解することにあると思います。従来の発想を転換させ、パラダイムシフトへの意思と覚悟を持つ「デジタル・レディ」の状態に持っていくことが第一です。

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